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今西 あとから当時の心境を聞いたら、「いい人で、いい夫で、いいパパだったから女性であるという落差があまりに激しくてついていけなかった」と話していました。ただ、博子さんはなんとか私のことを理解しようとカウンセリングを学んでくれたり、いろんなところに相談してくれて。

――千尋さんの気持ちに寄り添ってくれたんですね。

今西 そうですね。私の気持ちを否定することなく、受け入れようとしてくれました。

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カミングアウトした時、子どもたちは7歳と3歳

――カミングアウトされた時、長男の竜太さんは7歳、長女の奏絵さんは3歳だったそうですね。お子さんたちにはなんと伝えたのでしょうか。

今西 子どもたちはまだ小さかったので、何も言いませんでした。私の姿を見て、少しずつ理解していったと思います。

 博子さんにカミングアウトしてからは、家の中でも外でも女性の格好をするようになったから、子どもたちも自然と「うちのお父さんは世間のお父さんとちゃうんやな」って思っていたんじゃないかな。

家族と別居をしていた時に通っていたお店「ふじわら」で取材を受ける今西千尋さん(56)

 子どもたちから何か聞かれることはなかったですけど、その分、裏で博子さんが子どもたちのケアをしてくれていました。それに学校の先生やママ友など周りからの視線もあっただろうから、本当にたくさんの精神的負担を掛けてきたと思います。

――カミングアウトされてからは、家の中や外で女性用の洋服を身につけ始めたということですが、博子さんの反応はいかがでしたか。

今西 ストレスを感じていたと思います。でも、自分の中でコントロールが効かなくなってきて。博子さんから「この日はみんなで集まるから男性としてきてくださいね」と言われた日でさえ、女性の格好をしてしまって。

 旅行に行くと、見た目は女性なのに子どもたちは私のことを「お父さん」と呼ぶので、周りの方はびっくりして私たちのことを見るんですよ。女性なのに、お父さんってどういうことって。それが家族のストレスになっていたので、それからは旅行に行くときも、別々の車両に乗ったりして、なるべく一緒にいないようにしていました。

――ご家族も周囲から偏見の目に晒されることがあったんですね。