YouTubeチャンネル開設後に快進撃を続けるが…
そこから紆余曲折を経て3年後、僕はYouTubeチャンネルを開設。「Hikaru Games」という名のゲーム実況チャンネルだ。来る日も来る日もゲーム実況動画をアップし続けた。
さらにその3年後、24歳のとき、実写動画チャンネル「ヒカル(Hikaru)」を開設。これが当たった。チャンネル登録者数は開設9か月で100万人に到達、その半年後には200万人を突破した。これは当時の日本のYouTubeでの最速記録だ。僕はユーチューバーとして人生のすべてをかけることに決めた。
かつて燻っていた僕が一気に快進撃だ。でもすぐ暗転した。「VALU(バリュー)」をめぐって大騒動を起こしてしまったのだ。VALUとは、個人が疑似株式(VA)を発行して、それを仮想通貨(ビットコイン)で自由に売り買いできるサービス(2020年3月にサービスは終了)。
チャンネル登録者数200万人を突破した3か月後の2017年8月、僕は値上がりしていた自分のVAを一気に売ったことで、結果的に多くの人に損をさせてしまった。世間からすさまじい非難を浴びた。詐欺師と罵られた。謝罪に奔走したが、火は収まらなかった。
このいわゆる「VALU騒動」の責任を取るかたちで、騒動発生から20日後、僕はそのとき務めていたユーチューバープロダクション・VAZの執行役員を辞任。ユーチューバーとしての活動も休止した。3か月後に活動を再開したものの、YouTubeチャンネルの再生数は激減。270万人まで増えていたチャンネル登録者数も60万人減った。新しい動画をアップすれば、すさまじい数の低評価がついた。
僕のすべてであるYouTubeにだれも見向きもしてくれない。どん底だった。
ヒカルは終わった――。だれもがそう言った。周りから人が一斉にいなくなった。
信頼を取り戻すためにやれることはぜんぶやった
でもあきらめなかった。どんな状況でもひっくり返せる。逆転できる。そこに根拠なんかなかった。でも自分を信じた。信じるしかなかった。なにをどうすれば信頼を取り戻せるのか。考えに考え、やれることはぜんぶやった。
そしていまがある。僕は奇跡的なV字回復を遂げた。チャンネル登録者数はいま500万人にせまる勢いだ。活動はYouTubeにとどまらず、僕がプロデュースするアパレルブランド「ReZARD(リザード)」は創業1年目で年商25億円を叩き出した。
僕はその復活、成功を自慢したいわけではない。チャンネル登録者数? 年商? そんなのはひとつの事例だ。数値化できない成功のかたちだってたくさんある。なにが成功で、なにが失敗か。それはあなたが決めることだ。