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──今回の問題について、日本の政府やメディアに期待することはありますか?

A:ひとまずはないです。 日本は日本で、 解決しなくてはいけない自分の国のいろいろな問題があると思うので…。 ただ、もしも将来的に習近平が台湾を攻撃するようなことがあれば、日本政府は台湾を助けてあげてほしいとは思います。

 あと、日本の若い人の大部分が政治に関心を持っていないのはよく知っているのですが、私たちからすると、彼らが選挙に参加できるのは非常にうらやましいですね。 日本の未来がより良いものになるのを望みます。

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──最後に、目下の「橋の男」に同調するポスター運動について一言。

A:私の行動は個人的なものだし、他に同じ行動をしている人たちのことは知りません。ただ、ポスターを貼っている人たちはみんな「橋の男」の行動に感動して、勇気づけられたから動いていると思うんです。彼が必死でやったことをサポートして、応えていかなくてはいけないと。

 なので、今後もポスター運動が続いてほしいと思います。私たち中国人の全員が、皇帝にぬかずく臣民(奴才)なんかではないこと、習近平を自分たちのリーダーだと認めてはいないことを、世界に広く知らせたい。独裁政権に統治される中国なんか認めたくありません。必ず習近平を引きずり降ろさなくてはいけない。

中国の政治変動の波を受ける日本

 中国共産党体制に対する批判は以前から存在してきたとはいえ、習近平を対象にした抗議の声が中国国内外でこれだけ目に見える形で出てきたのは、政権成立後ではほとんど初のことと考えていい。

 往年、1989年の天安門事件の際ですら、日本では中国人留学生を中心に1万人規模の大規模な反対デモが起きた。だが、いまや在日中国人人口は当時の5倍以上で、日中間の人的交流も往年とは比較にならないほど強まっている。

 加えて、若い世代の反体制的な中国人は、アニメやゲームとの親和性が強いため、特に日本と縁が深い。客観的に見ても、他の西側諸国と比較して、日本は若い中国人の反体制運動の大きな拠点のひとつになっている。日本の各地で反習近平ポスターが出現しているのは、こうした事情も関係しているはずだ。

オタク系反体制中国人のTelegramチャンネルに投稿された、党大会での胡錦濤退場シーンの美少女化イラスト。左のメガネっ娘が李克強、中央が胡錦濤、右の女子が習近平である

 いまや日本は、隣国・中国の政治的な変動の影響を、よくも悪くも深く受ける時代になった。今回の事態は、そうした事実を反映したものでもある。