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「アルバイトがなかったら、私も梨泰院に行く予定だった」

「アルバイトがなかったら、昨日(10月29日)、私も梨泰院に行く予定だったんだよね」 

 事故の翌日、梨泰院からの帰り、家の近くの地下鉄駅のエスカレーターの後ろからこんな会話が聞こえてきて、思わず話しかけた。大学生(21歳)だという。

 梨泰院に行く予定だったが、アルバイトが突然入ってしまい、事故が起きた29日には梨泰院に行かなかったそうで、「一緒に行く予定にしていた友人からは文句を言われましたけど、今朝彼女から、『もし行っていたら私たちも巻き込まれていたかも』っていうメールが来て、あらためて行っていたらどうなっていたのだろうと怖くなりました」と声を落としていた。犠牲者との境界線は実に危ういものなのだ。 

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 韓国政府は11月5日までを哀悼期間とし、梨泰院の大通りの入り口付近とソウル市庁広場に「焼香所」と「心のケアセンター」を設けた。 また、韓国では全国でさまざまなイベントやコンサートがキャンセルされている。

梨泰院事故死亡者の合同焼香所(筆者提供)
ソウル市庁前に作られた心のケアセンター(筆者提供)

 まだこれからいろいろなことができる、たくさんの可能性を持っていた世代なのに。 

 亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。