「やっぱり人間をよく見てるんだろうね」
オードリー若林は、ラジオ『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)の中で、『じゃないとオードリー』(テレビ東京)の収録を振り返りながら、番組プロデューサーの佐久間宣行をそう評した。
『じゃないとオードリー』は、オードリーが「企画主導ゴールデンMC男」から「オードリーじゃないと」と言われる「その男ありきゴールデン男」を目指す番組の第2弾。同じ佐久間Pによる『あちこちオードリー』(テレビ東京)でも、ゲストから収録中とそれ以外、つまりオンオフの差が2人とも激しすぎるとたびたび指摘されていたオードリー。明石家さんまを筆頭に本当のスターはオフでも周りを気遣い盛り上げている。
そこで企画されたのが「オフゼロオードリー」。彼らがMCを務める日向坂46の『日向坂で会いましょう』(テレビ東京)の収録にカメラが密着し、メイク・着替えから打ち合わせ、収録までずっと「オン」の状態でいろ、というオードリーにとっては過酷なミッションが課せられた。企画が始まる前の楽屋入りでは挨拶はおろか目も合わさなかった。だが、2人だけのときも「オン」でいなければならない。楽屋で春日が若林に「どう最近は?」などと話しかけると、モニタリングする旧知の仲のどきどきキャンプ・佐藤満春は「楽屋で若林正恭が顔を上げている。これ奇跡ですね。そして春日から若林くんに話しかける。ここも奇跡でございます。もう2奇跡」と解説。本番前、スタジオ入りした際に、日向坂のメンバーに話しかけると、彼女たちがすぐに違和感を抱いてしまうことから、普段の「オフ」の状態が窺い知れる。
「面白い番組撮りまーす!」と若林が宣言し本番を始めると、珍しくタイトルコールを噛む若林。いかにムリしているかがわかる。だが収録の合間、最初はボケたり大げさな口調で笑わそうとしていた彼らも、普通に話しかけるだけで嬉しそうな表情をする相手と接するうちに自然な会話で場を盛り上げていくように。
若林はミッションを終えた後、「俺の負けだと思った」と感想を述べた。彼は、本番だけに力を注ぎ込むほうがいいものができるという信念があった。けれど、本番前後、自分たちが周りに話しかけると現場は明るくなった。それまでの考え方が間違っていたのかもしれないと向き合うことになったのだ。まさに“今”のオードリー「じゃないと」できなかった企画。そしてこの番組「じゃないと」見ることができないであろう「人間」オードリーを見せてくれた。近い将来、きっと彼らは「その男ありきゴールデン男」になる。その時、この番組がオードリーのターニングポイントだったと言われるに違いない。
INFORMATION
『じゃないとオードリー』
テレビ東京系 スペシャル番組
https://www.tv-tokyo.co.jp/audrey_janight/