埼玉県に究極の「ポツンと一軒そば屋」があるという。その情報はそばの達人から数年前に入手していたのだが、ついに訪問することができた。場所は北足立郡伊奈町。上尾市と蓮田市の間にある小さな町で、北東側を綾瀬川が境界を作る。
店の名前は「おばちゃんの店」。あっけらかんとしたなかなか興味をそそる名前である。いったいどんな歴史がある店なのか、さっそく大宮からスタートだ。
電車に揺られ、羽貫駅へ
JR上野東京ラインでまずは大宮駅へ。改札を出て埼玉新都市交通(ニューシャトル)を目指す。鉄道博物館へ行くときに乗るあの電車だ。大宮から鉄道博物館あたりはまだ都会の街並みだが、しばらく行くと突然田園風景に変貌する。埼玉は広い。そして大宮駅から約22分、11番目の羽貫駅で下車。西側にロータリーがある広い駅だ。ちょうど伊奈町の真ん中あたり。
そして東側から県道87号線上尾久喜線を東方向へ歩いていく。広い道沿いにはうどん屋、ラーメン屋、レストランなどが並んでいるが、その背後には住宅と農地が広がっている。
最寄り駅から徒歩20分、「おばちゃんの店」が見えてきた
記念公園入口の交差点を左折してしばらくいくと、バラ園の看板が見えてくる。右手に埼玉県立伊奈学園中学校・総合高等学校が見えてくる。そして学校を過ぎたあたりの左側に「そばうどん」の幟(のぼり)が揺れていた。「おばちゃんの店」である。羽貫駅から歩いて20分ほど。
到着したのは開店時間ちょうどの午前11時。厨房をのぞくとだれもいない。すると奥に置いてある車のドアが開いて、中から「はーい。いらっしゃい」と元気な声が聞こえてきた。そして笑顔のおばちゃんが現れた。