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「死ぬぞ」「絶対に止めてくれ」と友人から懇願される…それでも“稀代のマニア”が激辛料理を食べ続ける“異常な理由”

「死ぬぞ」「絶対に止めてくれ」と友人から懇願される…それでも“稀代のマニア”が激辛料理を食べ続ける“異常な理由”

関西の激辛王・山田順一インタビュー #1

2022/12/18
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初めて敗北した激辛メニュー

 そんな山田さんだが、2022年9月に初めてのギブアップをした。カプサイシンの粉とエキスが山ほど入ったラーメンで、辛さには耐えられたが、薬品のような独特の匂いに手こずった。何とか麺は食べ終え、スープへ移ろうとしたところで、胃から逆流してきたという。お店を汚すと迷惑がかかるため、ギブアップしてトイレに駆け込んだ。その後、スープも完食したが、初めての敗北だった。

ギブアップしてうなだれる激辛山田さん

「ここのラーメンは、有名な激辛ユーチューバーもギブアップしていたので、『よほど辛いんだ』とひるんでしまっていたんですよね。箸を持ったときから手が震えていました。視聴者からすると、山田はどんな辛いものでも食べきるのが当たり前、というプレッシャーもあったので、食べる前から『今回は無理かも』と洗脳されていたのかもしれません」

 しかし山田さんは、数日後に同じ店に行ってリベンジを果たした。あまりにも辛いものを食べると、匂いや味が頭から離れず、恐怖心もあって箸が動かなくなってしまうという。そのため、半年や一年後など忘れたころに再挑戦する人が多いが、山田さんはあまりの悔しさに、いてもたってもいられなかったのだ。「どちらかが倒れるまでが勝負だと決めているんです。唐辛子が勝つか、僕が勝つかですね」と山田さんは笑う。

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動画一覧画面は真っ赤に埋め尽くされている

激辛チャレンジは「大人のロマン」

 山田さんにとって、激辛チャレンジはまさに勝負だ。YouTubeチャンネルの視聴者から、「もっと面白く演出したら?」と言われることもあるそうだが、そのつもりはない。前述のとおり、ギネス級の唐辛子を食べた後は、すさまじい痛みや症状に襲われる。激辛好きの仲間は、これまでに3回も緊急搬送されているという。ひとつ間違えたら命を落とす可能性もあるため、演出をしている余裕などないのだ。

 激辛の苦しみを家族は知っているため、YouTubeの開設には反対だった。友人たちからも「人間の食べるものじゃないだろう」「死ぬぞ」と諭され、なかには「絶対に止めてくれ、約束だぞ」と本気で懇願してくれた人もいる。それでも、山田さんは激辛チャレンジを止めない。その理由を、大人のロマンだと話す。

「本当は、適度な辛さが一番美味しいんです。激辛は決して美味しくもないし、身体にもいいはずがない。なんで挑戦するのかというと、男のロマンではないですが、どれだけの辛さや痛みに耐えられるかという挑戦。恐ろしい大人の遊びをしている感覚ですね。それでもやっている以上は、日本一、世界一の激辛王を目指したいです」

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。

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