クラシックバレエといえば「敷居が高い高尚な芸術」という印象がある。しかし最近ではバレエ界も変わりつつあって、YouTubeにも親しみやすいバレエダンサーが登場している。彼らはバレエを踊る動画だけでなく、バックステージや視聴者に役に立つストレッチ、海外生活の情報など、豊富なコンテンツを提供する。さらにサービス精神を発揮した「面白エンタメ」に踏み込むバレエYouTuberも少なくない。
そんな中でもダントツの人気を誇るのが、現在登録者数67万人超えの「ヤマカイTV Japanese ver(以下「ヤマカイTV」)」の“ヤマカイ”こと山本開斗さん。アメリカのバレエ団と契約している現役プロバレエダンサーである。
今回、ヤマカイさんにインタビューを行い、道内屈指の進学校からバレエダンサーになるまで、YouTubeを始めるきっかけ、そして今年経験した炎上・休止騒動などについて話をうかがった。
バレエ教室で黙々と練習する男子小学生だった
――ヤマカイさんが、子どもの頃、バレエを始めたきっかけは?
ヤマカイ 母が車で30〜40分かかるバレエ教室に僕と兄を見学に連れて行ったんです。バレエ教室に男子が来るのは珍しいので、スタジオの先生が期待のまなざしを向けてきました。兄は速攻でノーと言ったので、僕は空気を読んで「やってもいいよ」という感じになりました。要は「気を遣った」のがきっかけですね(笑)。まあ僕自身も、興味が湧いたから始めたんですが。
――ご両親はバレエ経験者?
ヤマカイ いえ、全くやってないですね。母は熊川哲也さんファンだったのかもしれません。父は僕に野球をやらせたがったので、野球も小4から始めました。
――親の期待に応える少年だったんですね。そうやって始めたバレエは楽しく続けられましたか?
ヤマカイ 男子は貴重だから大事にして見てもらえるし「ここでやっていくんだ」と思って入ったから、やめるという選択肢はなかったですね。技術的には、函館では一、二を争う厳しいところだったので、けっこう上達したと思います。クラスでは男子1人だけだったし、人見知りもあって、ずっと黙々と練習していました。
小学校の友だちは、みんな僕がバレエを習ってることは知ってるけど、興味がない。「バレエやってんだ。ふーん……ゲームしようぜ!」みたいな。バレエ教室と違い、学校でははっちゃけたキャラ。「ヤマカイTV」ではっちゃけてる感じがそれですね。初日でキャラを間違えると小学校6年間そのままってことあるでしょう? バレエ教室、塾、学校と環境によって出てきたキャラが違っちゃって。でもバレエ教室で寡黙に過ごした分、技術的なことに集中できたので、良かったかな、と。