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「AIやデジタルはヒトと置き換わるのか」『DEATH NOTE』などの背景を描く“コミック職人”が即答した答えは?

「AIやデジタルはヒトと置き換わるのか」『DEATH NOTE』などの背景を描く“コミック職人”が即答した答えは?

背景作画家・アッツーインタビュー #2

2022/11/19
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――女性が活躍できる場が増えるのはいいことですね。

アッツー そう思います。SNSの時代になって年齢はあまり関係なくなりましたからね。あとは漫画家さんになって10年、20年経つと実家に戻ってしまったり、漫画家を辞めてしまう人が多いんです。絵を描くのは体力が必要だから年齢がいくと厳しい世界ではあるので。そういう方に加わってもらったり。僕自身が目立つことでスタジオが注目されて、こういう仕事があるんだよってことが分かれば、ちょっとずつ世の中も変わるんじゃないかなと思っています。

デジタルマンガ系の会社が従来の出版社と大きく異なる点

――待遇の交渉も変わっていくんじゃないでしょうか。

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アッツー それにいち早く対応してくれてるのが、ウェブトゥーン(主にスマートフォンで読むことを想定した縦スクロールのデジタルマンガ)系の会社ですね。通常だと漫画のアシスタントは1日契約の日払いが多い中、「スタジオだったら1ヶ月とか1年単位で契約しやすいです」と言ってくれて、うちの会社と契約してくれたんです。ウェブトゥーン系の会社はもともと出版社ではないから昔からの慣習とか関係ないんですね。

 例えば僕が何かで描けなくなったとしてもスタッフがたくさんいれば補えるので、会社としては安定して仕事を振れる。その代わりきちんと契約して金額を出しますよって。うちみたいな背景作画スタジオは他にほとんどないから、向こう側としてもやりやすいと言ってくれて。それを武器にできたらいいなと思ってます。

アッツーコラボ企画

――これだけ緻密な絵を描いていると、もう描きたくないと思うこともありますか?

アッツー 朝9時から夜7時ぐらいまで仕事してますけど、夕方になると“しんどい、もう描きたくない”って毎日思います(笑)。でも、やっぱり朝起きると“あの続きを描きたい”になっちゃうんですよね。絵描きに限らず全般的にクリエイターは満足することはないと思うんですけど、半日経つと手をつけたところが気になってしょうがないんです。

 いい絵を描くと、作家の先生が喜んでくれるので。先生と僕らの一番の違いは読者に褒められることがまずないということなんです。僕らが描いたことはみんな知らない。だからそれを知っている先生に「あの絵、良かったです」と言われるとすごく嬉しいんです。構図のアイデアも含めて作った先生のものなので。それだけのために頑張って描くんです(#3に続く)

©文藝春秋 撮影/橋本篤

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Youtuber「なつめさんち」とコラボして100万回超の再生回数を記録した動画はこちら。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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