海外旅行沼の住人たちと話して気付いたのだが、どうやら私は海外警察との絡みが彼らよりも多いらしい。軽犯罪の被害者としてお世話になることがほとんどだが、1~2年に1度のペースで容疑者として警察に連行されることがある。日本では見知らぬ人からしょっちゅう道を尋ねられるほど優しさだだ洩れナイスガイなのに、おかしいな。

 ここ10年は警察対応にも慣れてしまってヘラヘラ笑ってやり過ごしているが、過去に1度だけ「日本に帰れないかもしれない」と恐怖を感じたことがあった。アメリカと国交正常化前のキューバで、警察に問答無用で連行された時のことだ。

連行イメージ写真。このように警官数名に囲まれながら連れていかれた。©iStock.com

日本人サラリーマン5人でカリブ海集合

 2014年GW、乗物にテーマを絞ってカリブ海を巡る旅を計画した。キューバでクラシックカー、パナマで大型船、セントマーチン島で飛行機、米国オーランドでスペースシャトル、と乗物ばかりを見る旅である。旅仲間にその計画を話したところ、日本・ラオス・ブラジルから友人4名が合流することになった。

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 参加者は全員30代後半のサラリーマン。会社も違えば職種も違い、更には居住国すら違う。月末ギリギリまで出社を余儀なくされる者もいれば、月初には必ず出社しなければならない者もいる。そんな多忙なサラリーマン同士で海外旅行をするのはハードルが高いと感じる人もいるだろうが、旅の目的と日程をハッキリさせ、出国から帰国まで一緒に行動する連れション旅行をやめてしまえば、遠いカリブ海も居酒屋並みの気軽さで現地集合できる。

<サラリーマンの日常>
おっさんA「串カツ食べたくない?」
おっさんB「ちょうど俺も食べたかったんだ。じゃあ今夜7時に居酒屋集合で!」

<旅行沼の日常>
多田「カリブのセントマーチン島で旅客機のビーチランディング見たくない?」
旅行沼の住民達「ちょうど俺らも見たかったんだ。じゃあGWに現地集合で!」

セントマーチン島の名物、頭上スレスレを通過する旅客機のビーチランディング。航空ファンじゃなくとも一度はテレビや雑誌で見たことのある不思議な風景だろう。

壺を売りつけられるかと思ったが、皆優しいだけだった

 カリブ海と言えば陽気でヨーホーなイメージだが、キューバは経済制裁やらチェ・ゲバラやら暗い話題が多い国だ。だが実際訪れてみると現地の人が笑顔で話しかけてきて、「うちに来てくれよ!」「さあ入って入って!」と大歓迎。東京砂漠で汚れ切った私は「怪しい壺でも売りつけられるんじゃないか?」と声をかけるもの皆疑っていたが、本当に歓迎されているだけだった。

どうぞ家に入って!と、家族や部屋を見せてくれる優しいキューバ人。
一見怖そうな葉巻のおっちゃんも優しい。「マフィアのドンみたいな感じで」というリクエストに応えてくれた。