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警官「ねえ、ナルト知ってる?」
多田「へ?」
警官「お前日本人だろ? ジャパニメーションの『NARUTO -ナルト-』だよ」
多田「え? あ? はい、知ってますが?」
警官「いいよねー! 俺、ナルト大好きなんだよ! サクラ可愛いよね!」
これは一体、何の事情聴取だろうか? ナルトと今回の事件にどんな関連性が? よく分からないけど、ここは警官に話を合わせるしかないってばよ。
多田「『ドラゴンボール』も知ってる? 『デスノート』は?」
警官「もちろん! でも俺はナルトが一番好きだな」
多田「『聖闘士星矢』は?」
警官「知ってるよ~! 日本のアニメは最高だよな!」
何故かどんどんご機嫌になる警官。キューバで日本の、しかも近年のアニメが見られることに驚くが、本題の事情聴取から随分と遠くまできたもんだ。
警官「もう帰っていいよ」
多田「……帰っていいの? 1USドルは?」
警官「いらねえよ、じゃあな!(いい笑顔で)」
つまり釈放でいいのか? 警官が良いと言っているから良いのだろう。ナルトだけにキツネにつままれたような顔で、我々は警察署を去った。その後キューバを出国するまでこの一件で警察に絡まれることもなく、チェ・ゲバラよりもナルトの印象が色濃く残り腑に落ちないキューバ旅行の思い出が心に刻まれた。