森岡 日本代表だけでなく、スペイン代表にも今回のワールドカップメンバーに東京オリンピックのメンバーが含まれています。そういう意味でもこの1年余りの成長度の高さを測る試合になると思っています。
――東京五輪以降、三苫薫選手(英プレミアリーグ・ブライトン)など、欧州舞台で活躍する選手も増えました。
森岡 今回の日本代表はJリーグではなく、海外のクラブに所属している選手が多く選ばれています。そこには「日常」の違いがあると考えています。日常のリーグの厳しさの違いです。Jリーグにもうまい選手は少なくない。でも、うまいとできるというのは別モノなんですね。
日々、どのような環境でプレーしているのかで、選手は変わります。単純に言えば、タフになる。国際大会で外国人選手を相手にしても欧州組にとってはそれが日常だから、動じることもないと思います。そういう意味で今の日本代表にはブンデスリーガでデュエル(1対1で相手と対峙した際のボールの奪い合い)ナンバー1になった遠藤航選手や、スペインでファンタジスタ的な輝きを見せる久保建英選手などがいる。個人の成長が日本代表の経験値もあげていると感じます。スペイン戦は相当に面白い試合を期待しています。最高ですよ。誰がこのグループステージのシナリオを書いたのか! というくらい素敵なグループステージですね。
――チームの最年少でもある久保建英選手はまだ21歳。若くから注目を集めていましたが、現在の彼についてはどう考えていますか?
森岡 スペインリーグへ移籍し、苦労していましたが今シーズンは非常に調子がいい。ファイトできるようになり、試合でもインパクトが残せるようになりました。そういう意味で計算ができる選手です。逆に計算できないくらいとんでもないことをしてくるのが三苫選手(笑)。
森岡さんが監督なら、あの“注目選手”をどのように起用しますか?
――今夏、世界最高峰リーグの英プレミアリーグでも、徐々に出場時間を延ばし、チーム内での存在感を強くしていますね。森岡さんが監督ならワールドカップでどう起用しますか?
森岡 三苫選手は日本代表にとって、究極の飛び道具だと思っています。あれだけの才能、タレントを使ううえでチーム内の枠組みを考えても、相手が弱ってきた途中から使いたい。そのほうが断然輝くから。相手チームも当然、三苫選手を警戒してくるでしょうけれど、三苫選手のためにサイドバックの選手を都合よく交代させられないはず。そんな相手のスキを突く嗅覚と、それを実現させる技術が三苫には備わっているので。