滝沢秀明副社長の退社、King & Princeメンバー3人の脱退・退所──ジャニーズ事務所が突然ガタガタと揺れ始めた。ジャニー喜多川の後継者と人気若手グループの離脱によって、今後どのようなシナリオが想定されるのか。ジャニーズ事務所が置かれている現況を踏まえ、彼らの行方を考えた。

 

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3人が脱退・退所を決断した一因とは

 10月28日、ジャニーズ事務所から7人組グループ・Travis Japanが世界デビューを飾った。注目されたのは、ストリーミングサービスで一斉に曲を配信したことだ。いまだにCDに固執し、一部を除けばほとんど“サブスク解禁”が見られなかったジャニーズでは異例のことだ。

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 デビュー曲「JUST DANCE!」も、Billboardのグローバルチャートで28位にランクインし、上々のスタートを切った。ジャニーズ事務所がやっと変わる──Travis Japanはそう感じさせるデビューを飾った。

 が、それもつかの間のことだった。それから4日後の11月1日にはTravis Japanを手掛けていた滝沢秀明副社長が退社。さらに3日後の11月4日には、King & Princeのメンバーである岸優太・平野紫耀・神宮寺勇太の3人が脱退・退所を発表した。エンジン交換をして急発進した自動車が、すぐにストップしたような印象だ。

 しかも、King & Princeから脱退する3人が、その理由として揃って強調したのは「海外」だった。実際、ここ数年は平野を中心にかなり本格的なダンスミュージックを披露し、海外志向をうかがわせる全編英語詞の楽曲も複数発表してきた。たとえば2019年にアメリカ・ロサンゼルスでレコーディングされ、ミュージックビデオも発表されている「Namae Oshiete」がそうだ。

 しかし、この曲はストリーミングで配信されていない。それは「海外」を目指すためには、致命的な欠落だ。Travis JapanのようなチャンスをKing & Princeはジャニーズから与えられなかったのだ。こうした扱いが、海外を志向する3人が今回の決断をする一因となった可能性は高い。

日本でCDが売れる理由

 2010年代以降、世界の音楽状況はYouTubeとストリーミングサービスの浸透によって一変した。音楽がグローバルに展開するのは当然のこととなったのだ。CDからインターネットメディアへ──この波に乗って世界で大ヒットを続けているのがK-POPであり、そこで掘り起こされて世界的ブームとなったのが70~80年代の日本のシティポップだ。