昨年のBillboardチャート年間Hot100でも、ジャニーズの最高位はSnow Man「Grandeur」の40位だった。12月からはルックアップ(PCによるCD読み取り)のポイントも廃止されるため、来年度以降はさらに順位を下げる可能性もある。つまり、Billboard基準では、ジャニーズは徐々に「音楽人気がない」とされつつある。
起こるべくして起きた脱退と退所
ジャニーズにとってストリーミングは諸刃の剣だ。
ストリーミングに乗り出したからと言って、多くの再生数が約束されているわけでもない。むしろ、一部のファンの“深さ”ばかりを求めてきたこれまでを踏まえれば、かなりリスクが大きい。音楽人気(“広がり”)の乏しさが、さらに明らかになってしまうからだ。
一方でCD売上への依存も非常にリスクが大きい。もはやそれは、未来に大きな副作用をもたらすドーピングのようなものだ。かと言って、ストリーミングへの進出はCDからの強い離脱症状を引き起こす可能性も高い。
もちろんいつまでもCDに固執できないことは、ジャニーズも頭では理解しているはずだ。ファンからの不満も目立ち始めており、その声をいつまでも無視するわけにもいかない。嵐の全曲配信やTravis Japanの誕生もその試みだ。ただし、その歩みは極めて遅い。
現状(CD)に留まるのもリスク、未来(ストリーミング)に進むのもリスク──この5年ほど、ジャニーズはこのジレンマに置かれ、積極的な動きができなくなっている。
そして、こうしたジャニーズの現状こそが、音楽と真剣に向き合うグループのメンバーにとって強いストレスが溜まる状況であるのは間違いない。King & Princeで言えば、岸と平野がそうだ。ストリーミングが解禁されないので、海外進出の芽も摘まれたままだ。年齢も20代半ばから後半に差し掛かった彼らが焦るのも当然だ。
その結果がKing & Princeからの脱退と、ジャニーズ事務所からの退所だ。それは起こるべくして起きたことだ。