東京の都心には、13本もの地下鉄路線が走っている。海外には東京を超える規模の地下鉄網を持っている都市もあるが、お客の数という点では東京は世界一なのだとか。

 そんなわけで、東京の人は複雑に入り組む13本の地下鉄を巧みに利用しながら毎日を過ごしている……などということはたぶんない。だいたい住んでいる場所や職場、学校などによって使う地下鉄は限られてくるものだ。

 だからたまに慣れていない地下鉄に乗ると、ふつうに迷う。一度も乗ったことがない地下鉄がある、などという人も少なくないのではないかと思っている。

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 そんな13本の地下鉄の中で、ちょっと異彩を放っているというか、独特な立場にあるのが都営地下鉄大江戸線である。

大江戸線“ナゾの終着駅”「光が丘」には何がある?

大江戸線の“決まりかけていた愛称”「ゆめもぐら」

 都営大江戸線は、都庁前駅を起点に東京の都心をぐるりと一周。飯田橋や両国、門前仲町、汐留、六本木などを経て再び都庁前駅に戻ってくる。それで終わりではなく、最後のひと踏ん張りとばかりに郊外に出て練馬、そして光が丘へ。環状線のようでいて、環状線ではない。そして他の名だたる地下鉄とは違い、郊外の私鉄と直通運転をしていないこと。これらが大江戸線の個性といっていい。

今回の路線図。大江戸線は東京の都心を一周し郊外へ抜けていく。行き着く先が「光が丘」だ

 ちなみに、大江戸線は1991年の練馬~光が丘間を皮切りに少しずつ開業していった。しばらくは「都営12号線」という味気ない名前をいただいていたが、2000年に新宿~国立競技場間が開業した際に「大江戸線」と名付けられている。ずいぶん野暮ったい名前にも感じるが、名付けのキーマンは当時の石原慎太郎都知事だ。

 各界の重鎮が名を連ねていた選考委員会が、公募された候補から「東京環状線」という12号線以上に味気ない名前に決めたところ、「環状運転じゃなくて6の字運転だから違うだろう」と鶴の一声。大江戸線に覆ったという。東京環状線に決まっていたら愛称は「ゆめもぐら」。確かに、比べてみれば大江戸線の方が座りがいい気がする。

そんな大江戸線“ナゾの終着駅”「光が丘」には何がある?

 いずれにしても、そんな大江戸線の終着駅が「光が丘」なのである。都心からは少し外れた場所にある、練馬区内の終着駅。日常的に大江戸線を使っている人でも、光が丘の住民でもなければ目にしたことはあってもなかなか訪れる機会はないだろう。いったい、どんな駅なのだろうか。

 

 光が丘駅は大江戸線の新宿駅から約20分。練馬駅からは5分ちょっとほどで着く。地下鉄なので当然地下に駅がある(私鉄などへの直通運転もしておらず、銀座線や丸ノ内線のように地上に顔を出す場面もない大江戸線の電車は、地下でしか目撃できない“もぐら”なのだ)。地上に出るとそこは……もったいぶるまでもなく、光が丘団地のど真ん中であった。