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 この事件はNHKのドキュメントでも大きく取り上げられていた。ある若手選手は後日、NHKのカメラの前で正直ビビっていた。これを見た視聴者は立浪監督は今後若手との折り合いをどうするのだろうと思いながら見たはずだ。そんなチームの雰囲気だったが夏場を過ぎてようやくまた活気が出てきた。結果的に最下位となったシーズンだが来季は若手が楽しみだと思わせて番組は終わった。

 このドキュメントを見終えて一番感じたことは「令和の時代に戸惑うスター」であった。昭和と平成に鍛えまくられたスターが指導者となって自分の若い頃と同じことを求めると苦悩する。時代に合わせていかにアップデートしていくのかという「ヤングおじさん」の葛藤がテーマだと感じたのだ。これはプロ野球に限らずどのジャンルでも同じだろう。

一方、ロッテの吉井監督は…

 今の時代の指導者という視点でいうと、最近ではこの記事が面白かった。

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『【ロッテ】吉井理人新監督はワシ流「教えすぎず、気付かせる」常勝軍団構築へ/単独インタビュー』(日刊スポーツWEB11月1日)

 千葉ロッテの新監督に就任した吉井理人監督は50歳手前にして筑波大大学院に入学してコーチング理論を専攻した。「教えすぎず、気付かせる」がモットー。

吉井理人監督 ©文藝春秋

「コーチングの概念が広がるのはすごくいいこと。プロ野球界が一番遅れていると思うんでね。プロは結果が全てなんで。コーチがガーッて言ってやらすほうが手っ取り早いんですよ。でも長続きしないので、そういう方針っていうのは。瞬間の成果は出るんですよ。だけど、選手のモチベーションをそれで保つのはすごく難しくって」(吉井監督)

 吉井も立浪も現役時代はスターだった。そのあと指導者となり、今の時代に合った指導法をそれぞれが模索している。セパ「12通り」の指導者の姿を見るのもプロ野球の醍醐味なのかもしれない。