インターネットと現実の境目がぼやけて、というよりも、かつては現実社会から切り離されたところにあったインターネットが今や日常生活の中に完全に組み込まれている。特に2010年代以降は、インターネット上で起こった出来事がそのまま現実社会に影響を及ぼす時代となったように思う。
これまでは少数の発信側による情報を閲覧するなどして、いわばコンテンツとの関わり方が「受動型」だった。しかしSNSの普及によって、今では個人が誰でも、気軽にコンテンツを発信することができる「能動型」へと劇的に変遷した。
いわゆる「1億総発信時代」への突入である。
「1億総発信時代」の“功罪”
この「1億総発信時代」には良い面と悪い面があって、これまでオフラインに限られていたコミュニケーションや交流を活性化させた。また、情報伝達の速度上昇に加えて、アクセスできる情報量が圧倒的に多く、多様になって「ほしい情報」がすぐに手に入ったりするようにもなった。
反対に「オフ会」のハードルがこれまでより幾分か下がったことで、インターネットを通じて出会った人から犯罪被害に遭ったり、デマの流布、偽の情報や悪意のあるコンテンツの数も増えてしまったことで、日々、目に飛び込んでくる膨大な情報量の中からひとつひとつの事象を慎重に精査しなくてはならなくなったりと、あらゆる責任が個人のネットリテラシーに委ねられる時代になったとも言える。