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ぽんとごたんだ あれは確か、現地で頭の骨にちょっと切れ目を入れていただいたんでしたかね。家でそこをこじあけて脳みそを取り出し、ソテーにして食べました。

 その当時は姉と同居していたんですけど、調理をするまでは数日間冷蔵庫に入れておくわけですよ。だから姉がうっかり冷蔵庫をあけたら「キャーッ!」と。姉はそれなりに付き合って一緒に食べてくれることもありますが、そこまで積極的に食べたい! と言う感じではないので。

3巻15食目「わざわざそこ食うんすか?」収録。作中、桐谷さんが肉屋でもらってきたという設定であるブタの頭は、加工業者からもらってきたものだった ©ぽんとごたんだ/双葉社

 ブタの頭は捨てるのも結構大変で、できるだけ砕いて新聞紙で隠して、ゴミに出した。ゴミ捨て場でまた「頭蓋骨! キャー!」とか騒ぎになったら困りますし。家の冷蔵庫はそんなものだらけなので、資料の食材が入りきらなくなり、後に専用の冷凍庫を買いました。

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「幻覚作用のあるハチミツ」を食べたことも…

新人編集T氏(以下、編集T) 自分はまだ数話しか参加していないんですが、「マッドハニーを食べる会」がすごかったです。マッドハニーとは、微量の自然毒を含んでいるので幻覚作用があるというハチミツです。味は普通なんですが、フワフワして二日酔いみたいになってしまって、帰るのが大変で。

――作者も編集も、一丸となって体を張っていらっしゃる。現地取材のほか、お取り寄せもしていますね。

編集S せっかく通販で買ったのに、ごたんださんがいつまでも食べてくれない食材もありました。食用カブトムシをネットで見つけたので送ったら、ずっと保管していましたよね、冷蔵庫の中で。

 

ぽんとごたんだ もしお店で出されたら、もう覚悟が決まるというか、食べないといけないじゃないですか。でも家で好きな時に食べてくださいってなると……ねえ。打ち合わせで会うたびに「カブトムシ食べました?」「いや、ちょっとまだ……」というやり取りを繰り返していましたね。

編集S 「スイカの上に乗せたら面白いですね」というアイディアまで出ているのに、いつまでたっても食べない(笑)。だんだんと、カブトムシは食べたくないんだろうなと察しました。

ぽんとごたんだ そのまあ、漫画にするまでは食べなくていいだろうと……。結局食べましたけど。

編集S 流通していなくて、入手に苦労した食材もありました。北海道の海で大シケにならないと捕れない、ユムシもそうでしたね。しかも何年に1度しか揚がらないレア食材。

 流通していないから、北海道の漁港に直接問い合わせするんですよ。あの時は月1ペースで電話していましたかね。次第に名前を覚えられ、電話口で名乗ると、食い気味に「あーまだなんだよ」と言われたり。しかも捕れたとき、ちゃんと電話かかってくるからありがたい。結局1年くらい待ちました。