バンダナにサングラス、赤いラグランTシャツ姿で、“BKB漫談”を披露するピン芸人・バイク川崎バイク。近年ではSNSに投稿していたショートショートをまとめた小説集『BKBショートショート小説集 電話をしてるふり』を上梓。3万部を売り上げ話題を呼んでいる。

 関係者間では“友達多い芸人”としても知られ、小説集を作り上げるにあたっても、その華麗なる交遊録の力が遺憾なく発揮されていた(《衝撃の小説家デビュー》バイク川崎バイク(42)はなぜ一発屋で終わらなかったのか「大物作家吉本ばななを“ばな姉”と…」「初代編集者はインディアンス田渕」)。

 しかし、彼は「決して根アカではないんですよ」と控えめに笑う。

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 それでも気難しい芸人から別ジャンルの有名人まで、広い交流関係を築けるのはなぜなのだろうか。そのスキルやコミュニケーションの秘訣を語ってもらった。

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「誰か相方おらへん?」BKBきっかけで和牛がコンビ結成

――BKBさんといえば、和牛の水田信二さんと川西賢志郎さんを引き合わせたことでも知られています。

BKB NSC卒業後、僕がまだコンビとして頑張っていた時、川西から「解散してしまって相方探したいけど、なかなか見つからへん」って連絡が来たんです。当時、インディーズライブに出てたんで、「俺らが出てるライブを観に来て、組みたい人を見つけたら?」って誘ったら、僕から手売りチケットを買ってくれて観に来てくれて。結局、3年くらい相方を探してたんかなぁ。ある時、水田から「誰か相方おらへん?」って連絡が来たんで、川西のことを伝えたら会ったみたいで。本人たちがよく話してますけど、その後、なんばのビックカメラで待ち合わせをして、コンビを組むことになったんですよね。

――コンビ結成は芸人さんにとって重大事です。おふたりから頼られるほどの信頼関係を当時築いていたということですか?

BKB どうなんでしょうね? 聞き上手やなと言われることはよくありますけど……。

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美容師時代に培ったスキル

――確かに相手の警戒心をといてしまうようなところがあります。

BKB そうなんですかね?(笑) でもこの間、後輩のニッポンの社長・辻が会うなり、「『キングオブコント』で最下位やったんは全然凹んでないんです。けど、周りが気ぃ使ってくるんですよね」みたいなことを言ってきたのでうんうん聞いてたら、突然「うわぁ! 誰にも言ってへんことを喋ってもうた」みたいなことを言い出して。なんかわからんけど、安心感あるんかなとは思いました。

――芸人さんは“尖った”タイプの方も多い印象ですが、BKBさんはなんというか、自分が自分がというタイプではないですよね。

BKB あー、芸人になる前にやっていた美容師時代に培った経験が役に立ってるんかな? ドライヤーしながら、おばちゃん相手にめっちゃ喋ってたんですけど、不快に思わさず、間をあまり作らずに喋らないといけない。もちろん喋りたくない人には喋らないんですけど、例えば「夏が好きなんです」って言われたら、「夏いいですね。じゃあ海派ですか? プール派ですか?」とかプラスアルファの情報を聞き返すようにするとか。