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淡路島から鉄道が消えたころに「なかったもの」

 淡路島といえば、国生み伝説やらタマネギやらを引っ張ってくるまでもなく、関西においてはなかなかの存在感のある島だ。

 2002年のサッカーW杯ではイングランド代表のキャンプ地となって、ベッカムさまフィーバーに沸き立った。例のホテルニューアワジは、将棋の棋聖戦の舞台。羽生善治九段が棋聖戦で決まってきつねうどんを注文していたというエピソードも将棋ファンにはよく知られるところだ。最近では、2021年にはドラクエのテーマパークがオープンして話題になった。

 

 自然豊かで海が近く海産物も豊富。それでいて、大阪から1時間ちょっとという近さの淡路島。観光という点では、まだまだポテンシャルを秘めているといっていいだろう。

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 そんなところに、もしもいま小さなローカル線がとことこと走っていたら。それはそれは、大きな観光資源になっていたのだろうに……と思うのは、鉄道好きのひいき目だろうか。淡路島から鉄道が消えた1960年代は、“観光列車”など誰も考えない、そんな時代であった。

写真=鼠入昌史

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