市街地を後にしていざ淡路島横断へ
洲本の市街地を後にして、淡路島横断の旅をはじめよう。淡路鉄道は、洲本駅を出るとすぐに寺町というふたつ目の駅を経て洲本川を渡る。
川を渡るからには鉄橋があったはずなのだが、痕跡はみごとに残っていない。50年以上前に廃止された路線なのだからムリもない。ここからは、古い地図に記された路線といまの地図をにらみつつの旅になる。
洲本川を渡り、いわた通りから見て道なりに西へ進んでゆく。車両基地もあったという宇山駅の跡はこれまた淡路交通のバスの基地に流用されていた。ただ、その目の前を通った限りではいまやバスすらも停まっていないただの空き地になっている。
ただ、空き地として残っているだけでもだいぶマシである。そこから先の淡路鉄道の廃線跡、ほとんどが道路や民家に生まれ変わっていて、跡地を正確に辿ることなどほぼ不可能になっていた。
おおざっぱに言えば、淡路鉄道は現在の県道469号線に沿って走っている。淡路二本松駅と納駅の間では神戸淡路鳴門自動車道の洲本ICと交差しているが、高速道路ができた時点ではとっくに鉄道はなくなっていた。
と思ったら廃線跡が…!
そんな中でもかろうじて残っている廃線跡が、納駅と淡路広田駅の間の築堤や水路を跨ぐ小さな橋だ。とくに築堤部分は、誰がどう見たってちょうどよく線路の幅がそのまま残っている。
轍のように草がはげたところは、もしかするとレールの敷かれていたあとだろうか。いやいや、いくらなんでも50年以上前のそれがそうした形で残っていることなどあろうはずがない。トラクターか何かが通ったあとの轍だろう。
とかなんとか、精一杯に想像を膨らましながら廃線跡を辿ってゆく。高速道路と何度かクロスしているが、その跡の道はこれだろう、このあたりに鉄橋があったんだろうなあ、少し道路が広がっているところは駅があった跡かしら。もしかすると、この小学校の中を突っ切っていたのではなかろうか……といった具合だ。
天皇のお墓のすぐ横を抜けていた淡路鉄道
淡路島の南西側、いわゆる南あわじ市に属する平地部は、その多くが田畑になっている。淡路島の名産は、いうまでもなくタマネギだ。
淡路島擁する兵庫県はタマネギの生産量においては、北海道、佐賀に次ぐ全国3位を誇っているのだとか。スーパーに行けば、「淡路産」のタマネギが普通に売られているから、タマネギの産地としての淡路島の知名度は群を抜く。
そうした田畑の間を抜けて、終点の福良の手前に控える山越えの直前。これまた田畑の間、国道28号と県道31号線の交差点付近には、御陵東という駅があった。