Q W杯で話題のカタールってどんな国?
サッカー日本代表がドイツ代表に逆転勝利した翌朝、新聞で「ドーハの歓喜」などの見出しをみて「あ、カタールって『ドーハの悲劇』のドーハと同じ場所なんだ!」と気がついたくらい、あまり中東の地理に明るくありません……。
出場国の中には政治的問題で衝突も出ているという報道を見るのですが、そもそもカタールとはどんな国なのでしょうか?(30代・男性・自営業)
A 面積は秋田県くらいの国ですが…
中東にあるアラビア半島の東部に、少し突き出た小さな半島があります。これがカタール半島で、ここにある国がカタールです。
面積は秋田県とほぼ同じくらいです。人口は約280万人ですが、その9割は外国人労働者です。豊富な天然ガスに恵まれた豊かな国ですが、人口が少ないため、労働力として外国人を受け入れているのです。
ただし、外国人労働者は仕事が終われば本国に送り返されます。イスラム教徒のアラビア人だけの国を維持しようとしているからです。
ワールドカップの開幕直前にカタールの外国人労働者の待遇が悲惨で亡くなる人も多いと問題になりました。
カタールのトップはタミム・ビン・ハマド・サニ首長。これは「サニ家のハマドの息子のタミム」という意味です。
首長というのは不思議な用語ですが、アミールの日本語訳です。イスラム圏での指導者ですが、国王よりワンランク下というイメージがあります。それは、近隣の大国サウジアラビアに遠慮しているからです。サウジアラビアは、イスラム教徒にとって大事な2つの聖地(メッカとメディナ)を抱えているので、国王は「2つの聖地の守護者」と呼ばれます。その国王に敬意を払って国王と名乗らないのです。
首長と名乗っても、要は専制君主ですから議会がありません。首長の下に首長自身が任命する諮問評議会があり、これが国会の役割を果たしています。
カタールが発展してきたのは、世界有数の天然ガスの輸出国だからです。先代のハマド首長が、天然ガスによる利益を国民に還元する政策をとったため、国民には所得税がなく、医療や教育も無料です。
イスラム教の国なので、酒も豚肉も禁じられていますが、外国人が宿泊するホテルでは酒も飲めます。ただし、公共の場で飲酒することは禁じられています。
意外に知られていませんが、カタールには中東最大級の米軍基地があります。小国カタールは、米軍基地を受け入れることで自国の安全保障にしているのです。
小国ながら独自の道を歩んで存在感を示すことで自国を守る。これがカタールです。