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杉田氏の「原点」とは?

 同時期の2018年7月28日の東京新聞には『自民・政府「差別」「うそ」の感染爆発』という特集もあった。

 あらためて注目したのは杉田氏の「原点」を指摘する声だ。 山口智美・米モンタナ州立大准教授(文化人類学)は、

「彼女はこれより前から米国での従軍慰安婦像の撤去を巡る発言などで、右派論壇に取り上げられていた。だが、浪人を経て一層発言に右派度が濃くなった」

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 と解説している。きっかけは従軍慰安婦問題だったと。

《こうした「活躍」が安倍晋三首相の目にとまったのか、17年の衆院選では自民党から比例中国ブロックで立ち、当選。》(同前)

©JMPA

 さらに山口准教授は「彼女の発言は自民党の考えとも合致する。同党の改憲草案は縦の家族関係を強調している」と述べる。たとえば安倍氏は2005年に、

《党の「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」の座長として、女(男)らしさからの解放を求める「ジェンダーフリー」を攻撃し、伝統的な結婚、家制度への固執を訴えていた。》(同前)

 このことから、杉田氏のような議員は「安倍首相におもねり、首相の思いを代弁すれば報奨があると期待している」「出世を目指す政治家たちにとり、差別発言を自制する理由はない」という他の識者の見立ても載っていた。

差別発言が「野放し」にされていた理由

 これは4年前の記事だが、ここまで読んで思い出した方もいるだろう。ジェンダーフリー攻撃の経緯は最近の旧統一教会報道であらためて注目されているからだ。たとえばこれ。

『夫婦別姓や性教育を攻撃したのは誰か 激化したバックラッシュの実態』(朝日新聞デジタル9月27日)