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「『チェリまほ』は派遣社員のままプロデューサーに」「異動したくて勝手にドラマをつくった」テレ東P4人が明かす《ヒットを連発する自由すぎる社風》

テレビ東京プロデューサー座談会#1

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濱谷 そうなんです。バラエティに所属したまま、2012年に『好好! キョンシーガール~東京電視台戦記~』というドラマを、勝手に脚本・監督、プロデュースしました。

──それはなかなかの荒業ですね。バラエティの人たちに怒られたのでは?

濱谷 当時はゴールデンタイム番組の演出もやっていたんですが、先輩たちが優しくて。「そんなにドラマをやりたいなら、バラエティの仕事は一旦減らしていいよ」と言ってくれたんです。

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 ちょうどその頃、深夜ドラマ枠が増え始めたのもラッキーでした。それで、30代半ばにようやく異動が叶ったんです。

2023年1月4日にBS松竹東急で放送される新春プレミアムドラマ『家電侍スペシャル ストップ!忠臣蔵』。時は江戸時代。滝藤賢一演じる貧乏浪人の元に、なぜか現代の最新家電が届くようになるという珍妙(?)なSF時代劇コメディ。プロデュースするのは濱谷晃一さん。現在はテレ東以外でも作品をプロデュースしている ©松竹東急/PROTX

松本 僕は営業にいた時、制作局の同期に「おまえ、そろそろ現場挑戦してみたら」と言われて。その時に嫉妬というか、「自分も何かを作ってみたい」という気持ちが芽生えました。

 そこで、自分が作れるものは何だろう……と考えたときに、自分なりの信念や、今までの人生で培ってきたものを伝えられるツールが「ドラマ」だなと。中でもプロデューサーの仕事は、人それぞれの個性や歴史を伝える役割だなと思い、これならできるかもと異動希望を出しました。

テレ東ドラマ室は全員が「プロデューサー」

祖父江 私も入社以来バラエティにいましたが、やっぱりドラマがやりたくて。異動希望をずっと出していたら、2018年に《ドラマParavi(パラビ)》というのができまして。

──Paraviは動画配信サービスですね。

祖父江 はい。《ドラマParavi》は、Paraviでの先行配信を前提としたドラマ枠です。そこで「女性視聴者をターゲットにしたドラマ企画」の募集があったので、ここぞとばかりに多くの企画を出しました。私の初プロデュース作となったのは、『来世ではちゃんとします』(2020)です。

祖父江里奈さん

──テレビ東京のドラマ室では、皆さんいきなり「プロデューサー」になるそうですね。他局のようなピラミッド形式ではないとか。

祖父江 ええ。いわゆる「サード演出、セカンド演出、チーフ演出を経て、晴れて監督もしくはプロデューサーになる」という流れはないですね。そもそも、局員監督を育てるという土壌がありません。

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