テレビ東京は今年度からドラマを増枠し、現在は週8枠、月1回ペースで放送の2時間サスペンスを加えると週9枠となった。同局の大庭竹修編成部長(2022年3月当時)は「『テレ東といえば深夜ドラマ』と思えるブランド力をつけ、放送だけでなく配信も含めてやっていきたい」と話している。
とはいえ、常に話題作、ヒット作を提供するのは至難の業だ。テレ東ドラマの総責任者であるプロデューサーは、作品にどんなこだわりを持っているのか。自分の企画を埋没させず、会議で通す秘策とは。男女プロデューサー4人が仕事の流儀を語った。(全2回の2回目/最初から読む)
◆◆◆
4者4様の「ドラマ作りで譲れないもの」
──皆さんはドラマを作るうえで、一番こだわる部分は何でしょうか。
本間 私は「集まってくれたみんなと自分が納得したうえで進めたい」ということですね。
濱谷 本間ちゃんは、物腰はやわらかいけど、ものづくりについては、鬼のようにポリシーの強い人という印象ですね。
本間 企画が通ったら、「監督・脚本・キャストを誰にするか」は自分の中で譲れないものになるし、その後集まってくれた人たちには、ベストを尽くしてもらえる環境にしたいと思うんです。そのためには、「細かいことひとつでも納得」が大切ではないかと思います。
──『チェリまほ(正式タイトル・『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』)』(2020)でも、その納得感を大切にされたのでしょうか。
本間 『チェリまほ』も各所とのコミュニケーションを大切にすることができたので、一歩一歩納得しながら進めている感覚はありました。その後の『うきわ―友達以上、不倫未満―』(2021)でも、同じように納得感は大切にしていました。
ただ、テレ東ではほとんどのプロデューサーが作品を兼務して、同時進行で進めているんです。だから、「全部の作品でそのやり方を貫こうとすると大変だよ」と言われることもあって。今後プロデュース歴を重ねていくと、今の方法が通用しないこともあるのかな、そうなったときは自分なりのベストな方法を考えないと……とも思っています。
祖父江 私がいつも意識しているのは「自分が見たいかどうか」。
私の作品では、生きづらさを抱えたり、何かをこじらせている人たちにスポットを当ててきましたが、それは私にもそういう部分があって、「そういう主人公が見たい!」という気持ちが強いからなんです。
──では、主人公はある意味、もう一人の祖父江さんのような存在?