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「太賀君がすごく僕っぽい」「井川遥さんの演技を見て反省」…松尾諭が語るドラマ『拾われた男』

source : 文學界

genre : エンタメ, 読書, 芸能, テレビ・ラジオ

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兄役・草彅剛さんの「懐の深さ」

――お兄さん役が草彅剛さんに決まった時は、どう思われましたか。

 剛さんとは舞台でこれまで2作共演していて、それがどちらも兄弟的な関係の役だったんですよね。年齢も剛さんが少し上で、剛さん自身は上から喋ったりしないので兄貴って感じではないんですけど、兄の役をやると聞いた時はすごくしっくりきました。

 アメリカ編で、あまりこう言うのも躊躇われるんですが、実際に兄にすごく似ていた。全力で「アイーン」する場面もよかったですね。あれ一つ取っても、なかなかできないだろうなと思って。ギャグをやるというか、ちゃんと芝居になっているから。懐の深さを感じました。

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 太賀君から剛さんの芝居がびっくりするくらい良かったって聞いてたんで、見る前からそうだろうなとは思っていたのですが、ドラマのラストの場面は衝撃を受けました。フェンス越しのシーンがあるんですが、イラストを描かなきゃいけなかったのでそこだけ先に見せてもらったんです。そこの剛さんの芝居がすごく繊細で、号泣しちゃいましたね。

 ほんま、剛さんにやってもらえてよかった。あらためてすごい人だなと思いました。舞台で長い間一緒だったのでけっこう気軽に話せるようになったんですけど、久しぶりに会ったら、あの場面を思い出して緊張しそうです。

©️文藝春秋

有村架純さん、井川遥さんが本人役で

――ドラマには本人役で出ている方もたくさんいらっしゃいますね。

 まず冒頭、有村架純ちゃんが出てくれるなんて夢にも思わなかったんで、もう本当感謝ですね。久しぶりに会ったらやっぱり綺麗でちょっとドキドキしました。

 そういう方ばかりなんでありがたいんですが、やっぱり印象的なのは井川さんですかね。今まではセリフをやり取りするようなことがなかったですし、もう身内みたいな感じの人なんで照れ臭かったんですが、井川さんはそんなこと全く感じさせずにスパーンと演技されて、こんなに素敵な女優やったんやとあらためてびっくりしました。

 井川遥役だけど本当の井川さんではないので、難しかったのではないかと思うんですけど、プロレスのシーンとか特にですが、こんなに芝居の爆発力があるとは、とみんな言っていましたね。ここまで思い切りよくやらなきゃいけなかったんだと、自分の演技をちょっと反省したくらいです。ドラマを見た人から井川さんよかったと言われることも多くて、僕が言うのも変ですけど、鼻高々というか、嬉しかったです。