実の娘が暮らす施設職員への暴力も…
その後もTさんの兄や妻に細々した嫌がらせを続けていた石崎。逮捕のきっかけとなったのは、実の娘が暮らす施設職員に対する暴行や脅迫行為だった。
Tさんの娘とかつて婚姻関係にあった石崎は、その元妻との間に1人の子供がいたが、石崎の虐待が原因で、子供は施設で暮らすことになる。施設に対して石崎は子供との“2人だけの面会”をたびたび求めていたが、子供はこれに応じない状態が続いていた。
そんな中、石崎は施設を訪ね、改めて2人だけの面会を求めたところ、職員の立ち会いのもと、子供と会えることになった。ところが面会中の子供が石崎へ拒否の意志を示したことに立腹し、湯呑みを職員に投げ「お前を殺す。お前にも家族がいるだろう。俺は1人殺しているからなんとも思わない」と暴言をぶつけた。
この件で逮捕されたのちに石崎は、Tさん殺害を自供し、事件が表面化した。
怒りの導火線が短く、意に沿わない行動を取る者に対しては躊躇なく攻撃する……殺人だけでなく一連の事件を見れば石崎のそんな性質が見えてくる。被告人質問では、Tさん殺害についてもやはり、自分本位な不満、そして勘違いを爆発させた。
「Tさんの会社が不法投棄をしていた。複数回、内部告発したが対応がないに等しい。また内部告発をTさんに告げると、胸ぐらを掴まれて『なんでうちの会社をいじめるんだ』と言われた。あと、Tさんが昔、暴力を振るってたと聞いて……。正そうと……私自身の、正義じゃないんですが、それに対して暴力で対抗してきた。それに対して殺意を抱きました」(被告人質問での発言・以下同)
半年かけて増幅された「理不尽な憎しみ」
不法投棄や暴力についての話がどこまで本当かは全くわからない。しかし石崎は繰り返し“正義感からTさんを正そうとした”ことが動機だと述べる。さらに暴力的だったという自分の父とTさんを重ねて憎しみを増幅させてもいたという。事件を起こすまでの半年ほど、殺害方法を考えながら過ごした。
検察官「最初からいきなりハンマーで撲殺することを考えていたんですか?」
石崎「当時は、車で轢き殺したりとか、梅雨で川が氾濫しているところに落とす、とか思ったことがあります」
検察官「最終的にそうしなかったのは?」
石崎「川の氾濫とかがなかったんで、できなかった」
検察官「首を絞めるとかは?」
石崎「反撃に転じられると思い、やめました」
こうして、後ろがガラ空きになった状態のTさんをハンマーで殴ると決め、実行した。
「Tさんは20分くらい生きてて、ゼイゼイといびきをかき、時間を追って痙攣し、息を引き取りました。達成感、高揚感が支配していました。殺害後は遺体を切断しました。両手、両足、最後に首をチェーンソーで。かなり高揚感がありました」
石崎の“高揚感”は、殺害時だけでなく、遺体をバラバラにするときも、その後も続いていたようだ。なんと遺体の一部を食べたことまで、詳細に語り始めた。