画期的だったゲームシステム
そのような状況で『ロックマン』は家庭用ゲーム機らしい作品の作り方をしている。ひとつめのポイントはやはりステージセレクトだ。
複数のボスのアイコンが一気に登場し、そこから自分でステージを選ぶというのは『ロックマン』シリーズでおなじみの光景である。しかしアーケードのアクションゲームは、プレイヤーがステージを選ぶ形式にはなっていない(流れが決まりきっている)ことが多い。
自分でステージを選べるというのは、いまでこそ当たり前だが、かなり重要な要素である。同じステージで何度もやられるとプレイヤーはすぐに飽きてしまうわけだが、選択できればほかのステージを先に遊ぶこともできるし、簡単なところから選ぶなんて攻略方法も生まれるわけだ。
また、ボスを倒すとロックマンがその能力を手に入れられるという要素も重要である。手に入れた能力はほかのボスの弱点になっているため、うまく活用すれば手強いボスもあっという間に倒すことができるわけだ。
このように、『ロックマン』はアーケードゲームにおける“遊びにくさ”を緩和したことが人気になったポイントだと考えられる。
もっとも、それでもアーケードゲームの影響下にあるのは事実で、家庭用ゲーム機では無意味な、スコア機能が存在したり、そもそも難易度自体が高く、残機システムは存在する。それは言ってしまえば、当時のアクションゲームの歯ごたえを維持しつつ、難易度の緩和ができた結果だといえよう。
初代『ロックマン』はいま遊んでみるとかなり難しい。ガッツマンステージでは最初の足場でよくわからないまま落下死するし、イエローデビルというボスもとんでもない動きを見せる。現代の優しいゲームに慣れた初見プレイヤーは腰を抜かすかもしれない。おまけに初代はパスワードも存在しておらず、電源を入れたら一気にクリアする必要があった。
それでも『ロックマン』のシステムは当時からすればユニークで、価値があったのだろう。子供たちの心を掴んだのは間違いなく、その証拠に、以降シリーズとしての展開がはじまっていく。