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仁藤夢乃さんとColaboをめぐる騒動、「本当の問題」は何だったのか

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2022/12/15
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「温泉むすめ」問題はネット上で大論争になったわけですが、仁藤夢乃さんはこの点について「(温泉むすめのようなイラストは)性差別・性搾取・性犯罪と本当に地続き」と評して、なかなかのカロリーとなって炎上することになりました。表現の自由をフェミニズムの観点から全否定するタイプの議論で、定番の論点とも言えます。

 この問題について、温泉むすめなど表現系への理解を示す暇空茜さんが、ある種の義憤に駆られて仁藤夢乃さんやColaboについて調べてみると、ネットでの風評だけでなくその活動の実態に一定の疑義があるのではないか、と批判的に公表したことで『地獄の門』が開いたことになります。

仁藤夢乃さんのTwitterより

 裏を返すと、Twitterのような誰もが見られるSNSであるがゆえに本来出会わなかったはずの二人が運命的な遭遇をし、記者会見とYouTubeで主張と反論をしあい、東京地裁で雌雄を決することとなるわけです。『地獄の門』のこちらと向こうとで両雄が出会ってしまうTwitterって本当に魔境だし、そこにいるやつはだいたいロクでもねえなと思います。

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命運を分けた議員会館での「記者会見」とおろせなくなった拳

 暇空茜さんからTwitterやYouTubeなどでたびたびColaboに対して「貧困ビジネス」、被害女性が逃げ込むシェルターは「タコ部屋」、「生活保護の不正受給」などの発言を繰り返し、批判のトーンを強めていきます。この記事を執筆している12月13日時点において、暇空茜さんが行った開示請求の内容からは、裁判の対象となっている暇空茜さんのいずれの発言も裏付けに乏しく、ネットでの論争でありがちな推定有罪状態となっています。

 他方、この批判を受けるなかで社団・財団法人法128条に基づき一般社団法人に義務付けられていた決算公告(5期分の貸借対照表)をColaboが公表することになったのですが、先に公開していた活動計算書(事業会社における簡易損益計算書)との突合せで一部辻褄が合わないことに加え、多額の内部留保となる現預金(職員雇用積立金を含む)、土地建物の不動産など併せて3億5,000万円ほどの資産形成がなされていたことが発覚。さらに、休眠預金活用事業を財源とするパブリックリソース財団から1億円の助成を受け、被害を受けた若年女性向けのアパート建設を行うという事案も手がけていますが、この物件の価値を査定する限りでは活動計算書や貸借対照表に出ている1億円の価値を認めるのはむつかしいとも言えます。