他方で「代表理事の仁藤夢乃さんの独断体制で、忙しい彼女がなかなか判断を下せず、(支援内容や組織運営など)回すのが大変」(Colaboの事情をよく知る人物)という声もありました。支援が必要な女性への接触や支援に仁藤夢乃さんが集中するあまり、組織としてのColaboの運営が帰納的に滞っていた可能性は否定できません。
それでも、NPOや一般社団法人を通じて社会的にハイリスクな女性を支援することの重要さは間違いなくあり、その意味では暇空茜さんのいう「貧困ビジネス」は一面的なところを見ての批判だっただろうとは思います。
暇空茜さんも応訴するようですので、まずは東京地裁による地裁の判断を待ちたいと思います。
仁藤夢乃、暇空茜とはどういう人物なのか
一般的な事柄はすでにネットで大量に出回っているので、筆者が直接見た両者の人となりに触れておきます。
仁藤夢乃さんとは、数年前にあまり上位ではない高校や被災地での活動や、私がかつてご一緒していた町内会での相談事でご一緒していたことがあります。非常に明確かつ快活にお話をされるタイプの、女子から信頼される女性リーダーだなと思いました。人を巻き込み信頼を勝ち得るタイプの人物で、良い意味で姉御肌でした。
他方で、各所で指摘される通り、仁藤夢乃さんはゴリゴリの左翼活動家の側面もお持ちです。報じられている内容もそのもので、沖縄の地元メディアである琉球新報では「沖縄の少女や女性たちが今も性暴力を受け続けているのは基地問題と無関係ではない」として沖縄との連帯を表明するなど、まあそういう人ですよねという受け止め方になってしまいます。
慈善活動を行うトップが個人で反基地運動に参画すること自体は割と自由であるし、通常ならば仕事をしているはずの平日昼間に辺野古基地の工事反対運動の座り込みをしているのはご愛嬌ではあります。お茶目とでも申しましょうか。
ただ、仁藤夢乃さんが運営しているColaboのシェアハウスへ性被害などの問題を抱えて避難してきていた少女たちを沖縄に連れて行って、彼女らを「辺野古で抗議行動をする人々と合流」させているとなると、Colaboは慈善事業を装った旧民主党などの支援団体や日本共産党のオルグ活動に近いのではないか、という懸念も持ちます。
今回のColabo問題に参戦したのは暇空茜さんです。
奇しくも暇空茜さんとは、彼がかつて勤めていたソーシャルゲーム開発会社gloops社、およびグラニ社で私も仕事でご一緒しておりました。また、グラニ社が後日破綻するにあたり、暇空茜さんが開発の主要メンバーとして引き抜かれた条件が履行されなかったとして6億円ほどの支払いで司法解決を得ています。ゲーム業界では「ゲームの売上に%をつけたインセンティブを与える条件で開発者を引き抜くとろくなことにならない」という貴重な災害の記憶を焼き付けてくれた人物でもあります。
暇空茜さんはソーシャルゲームにおいてプレイヤーの楽しみを決めるイベントやデータテーブル、ゲームシステム周りを設計する一種のプランナー職であって、一点突破でゲーム性を確保する仕組み作りのプロフェッショナルでした。
まったく分野の違う二人はなぜ激突したか
暇空茜さんの対Colabo戦線参戦の原因は、2021年、仁藤夢乃さんが酷評してネットで騒動になった「温泉むすめ」の火付け役として、オタク界隈だけでなく表現の自由を信奉するクラスターが無事炎上したことにあるようです。少なくとも、暇空茜さん本人がそう仰っています。