一方、一般社団法人「Colabo(コラボ)」をめぐっては、そもそも委託事業を出したり補助金・助成金を支給したりする東京都や国に問題はなかったのか、という論点もあります。

 本来、男女平等参画などジェンダー系の活動支援は、東京都の中でも割と平穏な生活文化スポーツ局が担当しています。ところが、女性支援の中でもColaboほか4団体が事業委託を受ける若年被害女性等支援モデル事業などは、先に述べた通り東京都の福祉保健局が所管となります。(全2回の2回目/前編を読む)

東京都の対応に問題はなかったのか

 もともとは、東京都女性相談センターなど家庭問題を扱う公共セクションは福祉分野でも長年デリケートな扱いをされていたところ、行政では扱い切れない個別の問題が続発することを鑑み、昨今はコミュニティに近く現場に詳しいNPO/NGOや公益事業を行う社団法人などへの委託を進めるようになりました。また、政府も内閣府や厚生労働省を通じて、これらの活動支援を後押しし監督する立場となっています。これはこれで、行政の役割を明確にし、民間で任せられるものは任せ、社会起業家やボランティアなど公益事業に厚みを持たせるという意味では価値がある流れであると言えます。

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 今回の東京都若年被害女性等支援モデル事業は、ここ数年急増している若い貧困女性が家庭での包摂が困難となっていたことに端を発しています。かつては児童相談所や児童養護施設での収容も行っていたものの、多く報道される通り児童相談所の機能的・マンパワー的問題がクローズアップされ、学童についてはこども家庭庁との連携事業に、義務教育終了の年齢以上の女性は若年被害女性等支援などにという棲み分けになっていくという意味では、いまはまさに過渡期とも言える状況です。

 そうなると、東京都の中でも年間1兆2,500億円(2021年度)ほどの予算を動かす超ビッグ部門である福祉保健局では、これらの事業担当と言われても大変な困難をともなう事業の割に予算規模が小さく、業務量的に「委託先のNPOなど監理している余裕はなくても不思議ではない」(前出・東京都職員OB)状態となります。

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 しかしながら、ネット上で大騒動となり、Colaboが記者会見をやり、大手マスコミもネットメディアも報じてしまったため、立憲民主党・岡本あき子さんやNHK党・浜田聡さんら議員が国会で質問する事態となりました。こうなると、若年被害女性等支援を統括する厚生労働省も東京都はどうなっておるのじゃと乗り出してこざるを得ません。「あの黒煙は何だ?」と。