抑圧された女性を助けようとする、という方針は必要なこと
で、ここまでは実は問題の入口です。ここからが本題です。
なぜ厚生労働省が国の資金を使ってこれらの若年被害女性の支援活動に予算付けをしてきたのかと言えば、当然ながら、本当に、若くして家庭や友人など社会から迫害され略取されてしまう女性がいて、被害をこうむったり、問題のサイクルから抜け出せないまま助けられずにいたりするからです。
なので、日本が政府として、これらの抑圧された女性を助けようとする、という方針は必要なことですし、絶対にやるべきだと思います。
他方、これらの活動には公費が使われます。要するに税金です。ですから、国が「やるぞ」といってみだりにカネをブチ込むことはせず、担当する省庁、この場合は厚生労働省が立って、審議会を立ち上げることになります。本件では「困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会」です。
困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会(第1回)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00703.html
これらの審議の中ではけっこう重要な議論がされていて興味深い内容なのですが、気になるのは、ここの委員に仁藤夢乃さんが入っていることです。そればかりか、今回東京都の若年被害女性の支援でモデル事業採択された事業者であるNPO法人「BONDプロジェクト」の代表・橘ジュンさんや一般社団法人「若草プロジェクト」の理事・村木太郎さんも、構成員に名前を連ねています。
その場で、仁藤夢乃さんはダイレクトに「(都から出る委託予算が)たった1千万円では、人2人雇って、シェルターをどこか借りたらなくなってしまうような金額で、とても2人でできるようなことではないのにと思います。全国に広げるためにも、ちゃんと予算を付けてほしい」(本文ママ)と、福留孝介もびっくりの銭闘モードに突入しています。
2018年10月24日 第4回困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000136352_00004.html
自分たちの活動への予算アップを堂々と討議する構造
つまりは、当事者が構成員として呼ばれて予算や政策について意見を出すだけでなく、実際に委託事業を受ける側として落ちてくる税金を両手で受け止めて事業をやっているという利益相反をも意味するわけでして、これはもう全然だめでしょう。比喩や冗談ではなく、本当に、だめです。
東京都も雑な委託事業の要綱でこれらの団体を随意契約で選定して、費用対効果も資金使途も活動実態もあまりきちんと把握しないまま放置してきたのも問題と言えば問題ですが、受益者でありプレイヤーでもある事業者の代表が、自分たちの活動への予算アップを堂々と討議して自分たちに利益誘導しているような構造こそが、この事案について真に考えて取り組むべき課題だろうと考えます。