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 実際、都も「(Colaboが都からの委託事業で)お金を出した分の領収書はある」(前出・都職員OB)とのことですが、これは東京都に報告しなければならない支払いの分だけのチェックであって、活動全体での支出や仕訳の適正性を認めているわけではありません。維新都議団からも都庁福祉保健局に質問状が提示され、1月には興味を持った各党から国会で質問主意書も出るでしょうから、まだまだ波乱は残っています。

 にもかかわらず、Colaboは批判に対して記者会見で「Colaboの会計には一切やましいことはありません」と宣言するなど、派手な強硬手段に出て、むしろ話が大きくなってしまいました。ここで、指摘の一部を認めて修正し都庁に計画書を再提出しましたと言って、「テヘペロ」して頭を掻いていれば「次からは気をつけろよ」で終わった話じゃないかと思うんですよね。

 でも、Colabo側はまさかの全ツッパ、全面戦争を選択してしまいました。これは燃えますし黒煙も上がります。一層ごちゃごちゃになる展開が約束されてしまったのです。

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なぜ記者会見で「訴訟します」と言ってしまったのか

 仁藤夢乃さんやColaboの活動に詳しい関係者は、口を揃えて「仁藤さんに悪気はなく、本当に被害女性と向き合う時間を多く取りたいので、煩わしい経理や組織事務についてはほとんど関心を払わなかった」と説明します。たぶん、事実として仁藤夢乃さんは一人でも多く性的被害に遭っている女性に時間を割き、どうにかしてあげたい、助けたいと思っていたのでしょう。

 一方で、問題の火の粉のかかった東京都側は「正直、(記者会見をやることで)面倒な方向に話を持っていったなと頭を抱えた」とも言います。実際、本件は民間のいち社団法人と、暇空茜さんという一般的には知名度のないネットワーカーによる誹謗中傷事案に過ぎず、社会的にそれほど重大な話とはいえません。にもかかわらず、東京新聞や時事通信のようなマスコミから弁護士ドットコムほかネットニュースまで総立ちでこの記者会見を報じることで、俄然注目が集まってしまいました。

 よりによって、Colabo側が記者会見まで開いて公然とオープンリーチで訴訟を起こすと宣言されたのですから、暇空茜さん側も「ならば、裁判費用をクラウドファンディングで集める」と対抗に出てしまいます。いや、私も書いていてColabo側がなぜ冷静になれなかったのかがさっぱり分かりませんが、なぜ記者会見で「訴訟します」とか言ってしまったんでしょう。

 とにかく、暇空茜さんの裁判費用クラファンには5,000万円以上の裁判費用のカンパが集まる(12月13日現在)ことになってしまいました。もしも、記者会見などやらず、2か月後にそっと暇空茜さんの自宅に東京地裁からの訴状が届いていたならば、そのころにはすっかり熱も冷めて100万も集まらなかった可能性はあります。