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未解決事件を追う

罪を認める→罰金納付→全面否認…“ロス疑惑”の被告人と「未解決コンビニ裁判」

罪を認める→罰金納付→全面否認…“ロス疑惑”の被告人と「未解決コンビニ裁判」

2023/01/03

genre : ニュース, 社会

 未解決事件と聞くと、事件は発覚したものの犯人が捕まっていないという状況をイメージしがち。もちろんそのパターンも多くありますが、疑わしい人が逮捕されて起訴もされたけど、裁判で有罪か無罪かの判決が言い渡されていないというレアケースの未解決事件もあるのです。そんな未解決事件の裁判傍聴記を。

 事件は、2007年3月17日午後4時半、神奈川県平塚市内のコンビニエンスストア店内で男性被告人がサプリメント6個(3632円)を盗んだという内容。

 文春で名前を記載するだけでも緊張しますが、被告人はロス疑惑の三浦和義(当時59歳)です。

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「一度は罪を認め、罰金を納めてからの全面否認」いったい、何が…?

 2007年4月5日に警察は被告人を逮捕し、4月13日に小田原区検察庁が三浦被告人を略式起訴します。同日、横浜地裁小田原支部は三浦被告人に対して罰金30万円の略式命令を出し、三浦被告人はその日のうちに納付。

 しかし後に三浦被告人は実際に法廷内で公判を行う正式裁判を申し立てし、7月6日に小田原簡裁で初公判が開かれました。

©iStock.com

 私はこの初公判を傍聴していませんが、当時の報道によると三浦被告人は罪状認否で「記憶する限り万引きはしていない」と否認したそうです。

 一度は罪を認め、罰金を納めてからの全面否認です。一体、何があったのか?

傍聴券を求めて小田原へと向かう

 これはニュースや新聞で切り取られた記事じゃなく実際に続きが見てみたいと思い、2007年8月27日に横浜地裁小田原支部へ向かいました。この日は三浦被告人の第2回公判の開廷日なのです。

当時59歳だった三浦被告人

 と言っても行けば誰でも裁判が見られる訳ではなく、傍聴券の抽選にハズレれば東京から小田原までの時間と電車賃のムダになってしまいます。傍聴券17枚に対して集まった傍聴希望者は47人というそこそこの注目度。30人が突き返される傍聴券抽選の中、無事当選し入廷の権利を獲得です。