月の輪の大きさと胆も関係ない。大きな月の輪でも胆がほんの2センチとか3センチのもいるし、ダアーッと大きいのもいるしね。どっちかというと7尺ぐらいで、このへんでは中から大にかけてのやつには胆がある。7尺ってのは、毛皮をクマの枠に張るのだけどその時の大きさだね。あまり大きくてもわりと少ないっていうね。
クマは大きいので8尺ぐらいだね。30匁胆のあったやつは大きかった。30貫の上はあったが毛皮は7尺ぐらいだった。
秋に捕ったクマにも胆はあることはあるが、食べ物食べている時のやつは他の牛とか馬と同じであんまり効果がない。捕る時期によってもだめだ。ブナの芽がほける(開くと)と値段が3分の1ぐらいになるのだ。
ちょっと夏の暑い時期になると、固まっていた胆がベチャベチャになってしまうので、ああこれ若芽とか新芽食っていたってわかるもんな。夏も秋もクマの胆はだめだ。
胆が本物かどうか、区別がつかない
今は毛皮は塩づけにしてナメシ屋までそのまま送る。ビニールの袋あるからね。あれに皮広げて塩いっぱいにして、たたんで毛の方にも塩かけてね。1頭で2キロぐらい塩すると大丈夫じゃないべか。
ここらへんでは、山で皮むいてくるが、庄内の方の八久和あたり、岩谷沢の下に大赤沢とか枯松沢とかでは、このへんで捕った30何貫のクマを丸ごと皆で引っ張って行くのだな。「胆分けらんなんねえから部落に行って解体して、皆に見てもらった胆でないと売れない」ってね。
胆をナメシ屋で扱っているんだが、そこでクマの胆いるならおれなんぼでも持って来るって人いるんだなあ。ほうするとどの胆買ってきても同じ厚さよ。
まず、普通は30頭捕れば30頭とも胆の厚さって違うんだなあ。それが同じ厚さだから、自分も買えないし、他の人ほしいなんて言っても、ほなら買ってきてくれ、って言えなくているんだな。
胆が本物かどうか、区別つかないんだな。水に入れるとクルクル回るなんて、マタギなんかも言っていたけどね。それは干す時必ずクマの脂とってて、それを塗って押しつぶしたりするから、その脂が水の上で抜ける時にクルッとしたりするみたいだなあ。
大井沢はその点信用があった。昔から加工したりする人がいないからじゃないかな。ここではいつも山で解体してくるが、本物だかって言われたこともない。だいたい、来年捕ったらほしいって言われていて、それにも充分やれなくている状態だね。遠くに売るにも、間に信用おける人入っているから間違いなかったんだね、昔から。
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