なぜ警察はDNA鑑定結果を受け入れないのだろうか
クラーク氏は3人のDNAを得ようと動いた。そのうちの1人のDNAを獲得、DNA鑑定をしてもらうと、ジョンベネの下着についていたDNAと同じである可能性は排除できない、という結果を得たという。それは、ヒスパニック系である、女孫の元夫のDNAだった。
「現在、コロラド州に住んでいるその男はヘビースモーカーなので、ゴミ箱から男の吸っているキャメルの吸い殻を取り出し、2つのラボに送ってDNA鑑定してもらいましたが、ジョンベネの下着から見つかったDNAと同じである可能性は排除できないという、同じ鑑定結果が出たのです。鑑定したエキスパートも確かな証拠だと太鼓判を押してくれました」
クラーク氏はそのことをボールダー警察に伝えたが、DNA検査の結果を受け入れないと門前払いを食らう。その理由について、クラーク氏はこう話した。
「実は、ボールダーはメキシコ系のドラッグ・カルテルのハブだと言われています。ボールダー警察もドラッグ・カルテルに関与していると思います。実際、ジョンベネ殺害の捜査に関わった警官はドラッグ犯罪担当だったのです。
彼らは、クリスマスの夜、ドラッグ・パーティーがジョンベネの家からわずか3軒先で行われていたことを知っていましたが、スムーズに行われるようプロテクトしていたのです。だから、事件後、彼らはパーティーに参加していた人々やバーンヒル家の人々について調べなかったのだと思います。
彼らを調べたら、自分たちがパーティーを摘発せずにプロテクトしていたことがバレてしまいますからね。そして、嫌疑の目がラムジー家の人々に向くようにしたのです。私はそう考えています」
実際、当時、事件の捜査を行い、クラーク氏が行ったDNA検査の結果を受け入れなかった警官は、12月6日、ボールダー警察から、無給の3日間の出勤停止と職務改善トレーニングの受講という懲戒処分を受けていた。その警官は職務上、問題を抱えていたのだ。
「10年近く調査してきましたが、この事件が解決されない大きな理由は、ボールダー警察の捜査の方向性に問題があったからだと思います」
とクラーク氏は話す。
ラムジー氏自身も、ボールダー警察の捜査に不審を感じているという。
「ラムジー氏はDNAテストにかかる費用を払うから、調べてほしいとボールダー警察に訴えたのですが、返事はノーだったと言います。そのため、ラムジー氏は、弁護士やコロラド州知事の協力を得て、捜査をボールダー警察の手から切り離す必要があると考えています」
実際、ラムジー氏は、10月、コロラド州知事に宛てた手紙を送り、その中で、ボールダー警察が所持している犯行現場で採取されたDNAや証拠を外部の調査機関に引き渡すよう圧力をかけてほしいと訴えている。ラムジー氏は、自ら、最新のDNA鑑定技術がある調査機関でDNA鑑定をしてもらおうとしているのだ。また、捜査に進展が見られなければ、州を訴える姿勢も示しているという。
クラーク氏はバーンヒルの女孫のゴミ箱からも捨てられた物を取り出し、DNAを確保した。現在、デンバーのラボで鑑定を進めているところだ。
「犯人たちは公正な裁きを受けなければなりません」
クラーク氏の調査はこれからも続く。