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2023年の論点

天皇陛下と雅子さま ご成婚30年の節目を前にした“現状と課題”〈もし宮内庁がSNSを展開するならば…〉

天皇陛下と雅子さま ご成婚30年の節目を前にした“現状と課題”〈もし宮内庁がSNSを展開するならば…〉

2023/01/02

source : ノンフィクション出版

genre : ニュース, 皇室

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ご成婚30年の節目を迎える両陛下

 その時、2022年9月にエリザベス英女王が死去する。おそらく天皇と皇后の意向が強く反映されたと推測されるが、二人でイギリスに向かい、その国葬に出席した。天皇・皇后として初めての外国訪問となった。コロナ禍で皇室全体が外国へ行けていないなかで、天皇と皇后が都外へ出る初めての機会が外国であるという異例の出来事であり、思い切った決断をしたものと思われる。それだけ、イギリス王室を重要視したのだろう。

エリザベス女王の国葬に参列するため英国を訪問した天皇皇后両陛下が記帳される様子 ©PA Images/時事通信フォト

 天皇と皇后の訪英は、ウィズコロナのなかで活動する第一歩になった。10月以降は、恒例の「四大行幸啓」が始まり、人々との交流も直接的な形に戻りつつある。栃木県での国民体育大会には天皇と皇后が出席した。そして、2023年には成婚30年の節目を迎える。

「オンライン行幸啓」の問題

 ただし、「代替わり」時のような天皇と人々との関係性は未だ回復していない。それは、コロナ禍での模索に対する、メディアの報道と広報の問題も大きい。

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 専門家から話を聞く「ご進講」では、御所で白い布を被せた机に座り、天皇と皇后の二人が専門家と向き合う様子の写真が公表される。その構図はいつも同じで代わり映えがしない。しかもソーシャルディスタンスを取る必要があるためか、その机の幅は大きく、天皇・皇后と専門家にはどこか距離感があるように見える。

「オンライン行幸啓」も、画面を見つめる天皇と皇后の二人の様子が報じられる。その構図は常に変わらないゆえ、次第に代わり映えしないものとして人々から忘却されていく危険性を有している。