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「入れ墨を見せてすごんでやろうか」覚醒剤中毒だった元ヤクザの頭をよぎった“邪念”と、それを我慢できた唯一の理由 《元ヤクザの牧師&ヤクザ研究者対談》

「入れ墨を見せてすごんでやろうか」覚醒剤中毒だった元ヤクザの頭をよぎった“邪念”と、それを我慢できた唯一の理由 《元ヤクザの牧師&ヤクザ研究者対談》

genre : ライフ, 社会

廣末 私が研究のために住み込んだ大阪の教会も一緒でした。一度「×」がついた人に対する世の中の不寛容さが、ヤクザの離脱を難しくしているんじゃないかと思います。本当に更生を考えている人には銀行口座の作成基準を緩和するとか、警察庁も動き始めてはいますが、成果はまだまだこれからという感じではないでしょうか。

進藤牧師の著作「極道牧師の辻説法 極道牧師と“元ワル”たちの人生」(学研プラス)

進藤 何より働く場所が一番大事だと思いますね。

“船底”のリアルな生活を助けるために

廣末 法務省がやっている協力雇用主制度や、各県警が協賛企業を集めるなど、雇用先の確保の動きはあります。しかし実際に元犯罪者を雇用しているのは(協力雇用主の)10%に満たない状況で、それほど機能はしていない。甲板で日の当たるところで生きてきた人達は、船底のリアルな生活が理解できないので、助け方がわからなかったりする。進藤先生のように、“船底”を知っている人にこれからも支援を続けてもらいたいです。

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進藤 少ない人数の支援しかできませんが、こういった草の根の活動が各地で広がればいいな、と心底思います。私の刑務所の後輩で、福岡で大手企業の幹部クラスに出世している人間もいるんです。彼も更生の大変さが分かるからこそ、何人か刑務所上がりを雇っていると聞きました。

 

廣末 私が福岡の就労支援事業所長だった頃に、元受刑者の雇用数で全国2位になったこともあります。勤続表彰するなどして、本人の自己肯定感を上げる工夫をしていました。彼らは表彰された経験はほとんどないんです。そういった一人一人への気遣いが重要だと考えています。立場は変わりましたが、私も微力ながら、彼らの力になりたいんです。

進藤 私も、これからも元同僚が一人でも多く更生できるよう頑張っていきます。ありがとうございました。

「入れ墨を見せてすごんでやろうか」覚醒剤中毒だった元ヤクザの頭をよぎった“邪念”と、それを我慢できた唯一の理由 《元ヤクザの牧師&ヤクザ研究者対談》

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