返金交渉に応じないうえ、奇妙な理屈を捏ねるRIZIN側
試合から1週間後、担当者の男性とRIZINの代表・榊原信行氏をにしたん本社に呼び出し、改めて返金交渉の場を設けることになった。訪れたRIZIN一行は「申し訳ない」と頭を下げる一方で、「別の試合に広告を出すから」と返金には応じず、交渉は膠着状態になった。するとRIZIN側は奇妙な理屈を捏ね始めたという。
「最初に提示された広告の営業資料には『レフェリーシャツの胸と背中に、御社指定のロゴを掲出致します』とありました。この資料を基に契約を交わしたわけですから、当日の試合でレフェリーの胸と背中に『にしたん』のロゴが出るのは私どもとRIZINの基本的な合意のはずです。ところが、あちらは契約違反を認めるどころか『先に渡した営業資料はどうあれ、契約書のほうには具体的に“胸と背中”に掲出とは書いていないから問題ない』と屁理屈にすらならない難癖をつけてきたんです」
当然、交渉は決裂。その後も返金を求めてRIZIN側と数度の接触をもつが、その都度、西村社長は先方の常識外れの言動に悩まされ続ける。
「ある時の電話では、『ごぼうの党の奥野卓志氏がメイウェザーに花を投げたことが炎上してYouTubeの再生回数が増え、結果的ににしたんの露出が増えたんだからいいじゃないか』とも言ってきました。RIZINと榊原氏は、奥野さんを『嫌悪感しかない』『生理的に受け付けない』と口を極めて罵っておきながら、裏ではあの炎上劇のおかげで儲かったと思っているんですよ。花束の扱いは不適切だったと思いますが、RIZINの金の汚さに憤慨したという奥野さんの気持ちは、今となっては理解できます」
榊原社長に引き合わせたのは、詐欺罪で起訴されたあの“美人市議”
そもそも、「にしたん」とRIZINを繋いだのは、詐欺罪で起訴され公判を待つ身のあの“美人市議”だったという。
「RIZINや榊原社長をウチに紹介して引き合わせたのは、大阪・寝屋川の元市議で、詐欺容疑で逮捕された吉羽美華氏です。それが縁で今年6月に東京ドームで開かれた那須川天心VS武尊戦に広告を出したのが、RIZINとの最初の取引でした。試合当日のアテンドも彼女で、テキパキして、感じがいい人ではありましたね。そんな吉羽氏が8月に逮捕されたと聞いた時は『やっぱり怪しいんじゃないか』という疑いが頭をかすめましたが、もうRIZIN側と話は進んでいましたので……。もう格闘技への広告はこりごりです」
怒りに身を震わせる西村氏。RIZIN側にも経緯を確認しようと質問状を送ったところ、以下のような返答を得た。
「この度の件につきまして、弊社としましては、契約の解釈の問題と理解しておりまして、両者間の認識の齟齬については円満な解決に向け、これまでも代理店なども通じて、誠心誠意ご対応させていただいて参りましたが、最終的に、このようなかたちになってしまい大変残念な思いでございます。貴社からのご質問に関しましては、本件は既に先方より問題解決に向けた協議の場を、別途設定されていますので、弊社としては専門家とも協議し、その場で適切に対応して参る所存です」
大晦日を前に、本番よりも盛り上がりそうな“場外乱闘”が起きていた。決着は年内にはつかない。