「9月に行われた朝倉未来VSメイウェザー戦で、運営元のRIZINから“架空の広告枠”を売りつけられたんです。その後、向こうが当然すべき全額返金にも応じないので、仕方なく11月に民事訴訟を起こしました。本当は詐欺容疑でも刑事告訴したいぐらいです」
こう憤るのは、「イモトのWiFi」で有名なエクスコムグローバル社代表取締役の西村誠司社長だ。有名企業の名物社長と、日本の格闘技業界の盟主であるRIZINの間にいったい何があったのか――。
「派手な広告」と「巧みな経営手法」で知られる西村社長
まずは西村社長とエクスコムグローバル社についておさらいしておこう。社長は自他ともに認めるマーケティングのプロフェッショナルとして名高い。飽和気味だったWiFiルーターのレンタル事業市場で、「イモトのWiFi」の知名度を高めるために打ったCMの成功はつとに有名だ。しかし、世界がコロナ禍に襲われると、海外向けだった「イモトのWiFi」はたちまち窮地に立たされる。
そこで西村社長は素早く手を打った。派手な広告を続けつつも、いち早くPCR検査事業に乗り出して経営をV字回復させたのだ。郷ひろみがギラギラの衣装に身を包み「にしにしにしーたん♪」と歌い踊るCMといえばピンとくる人もいるだろう。このお馴染みのCMを打っている「にしたんクリニック」の経営の大本は、実はエクスコムグローバル社なのだ。巧みな手腕はメディアでも華々しく取り上げられ、自身の経営手法を余すところなく明かした『最強知名度のつくり方』という著書も先ごろ上梓したばかり。
にしたんクリニックは、都内の一等地に3つの病院を構え、美容点滴や美容レーザー治療といった、美容に特化した診療を提供するクリニックとして急成長中だ。積極的にCMを打っていて、タクシーの車内やYouTubeでその名前を目にした人も多いだろう。ところがこの「にしたん」がある広告をめぐってトラブルを抱えているという。
エクスコムグローバル社に取材を申し込むと、怒り心頭の西村社長が登場
好事魔多し。トラブルの内情を聞くためにエクスコムグローバル社に取材を申し込むと、社長の西村氏本人がインタビューに応じた。そこで怒り心頭の西村社長が発したのが冒頭のセリフである。
「たしかに、『にしたん』の広告を巡ってトラブルがありました。9月に行われた朝倉未来VSメイウェザー戦のスポンサーに手を挙げていたのですが、興行主のRIZINに手ひどい裏切りを受けました。存在しない“架空の広告枠”を売りつけられたんです。こちらとしては話が違うじゃないかと抗議したのですが、先方は当然なされるべき全額返金にも応じないので、11月に民事訴訟を起こしました。本当は詐欺容疑でも刑事告訴したいぐらいです」