覚悟を決めて引き受けた久々の舞台は、《初心に戻るというよりも、先に進みたい気持ちの方が強かったです。稽古が始まった初日から千秋楽まで、ずっと日々進化させるという目標を立てていて。毎日毎日演じることについて考えていましたし、もっと深く役を捉えようとした期間でした》と振り返る(『キネマ旬報』2022年10月上旬号)。それだけに、終えたときにはとても高揚感があったという。「すさまじい集中力」がこのときも発揮されたのだ。

「そういう意味で素敵な30代を過ごせた」

 トップアイドルとして常に華々しく活躍してきた彼にもピンチに立たされたことが何度となくあった。正直、もうダメだと思ったこともあったという。

《でも、どんなにダメと思えても、やってみてダメならばしょうがないと思う。これはいまも変わらないんですが、ダメかもしれないからやめようじゃなくて、精いっぱいやってこれ以上できないとなってダメならしょうがない。悔いを残さないところまでやるしかない。そういう気持ちでやっていたら、大丈夫になったりしたんです》(『AERA』2015年4月20日号)

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若き日の嵐のメンバー ©文藝春秋

 どうして相葉雅紀はいざとなるとすさまじい集中力を発揮できるのか、その理由が上の発言からはっきりとわかる。40歳を目前にした今年のインタビューでは、《振り返れば、その時その時をとにかく精一杯、全力で生きてこられたと思う。楽しいこともつらいことも、そこにしかないというか。そこで得たのは、どんなときも腐らず懸命に生きていれば、絶対いい方向に進んでいける、ということ。そういう意味で素敵な30代を過ごせたと思います》と語っていた(『AERA』2022年5月30日号)。

「腐らず生きる」……どこまでもポジティブな姿勢に、改めて彼の根っからの明るさを感じる。どんなに大変な経験をしても、それを糧に成長を続けてきた。そんな相葉が40代に入って新たにどんな姿を見せてくれるのか楽しみだ。

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