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「気が狂いそう。お願い、帰ってきて」夫はなぜ妊娠中の妻を殺めたのか? 愛人との生活に溺れた《33歳・元暴力団員》の愚かさ

『昭和の凶悪殺人事件』 #6

2023/01/08
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純情な妻か、性技に長けた愛人か

 N県で生まれた持山は、G県の高校を中退後、同県F市に事務所を持つ暴力団幹部の運転手となった。

 色白で長身の優男だった持山は、Z市出身の美容師と結婚するが、昭和46年に起きた、暴力団幹部殺害事件に関与したことで3年間服役した。出所後はかたぎとなって、妻の実家があるZ市にやってきたが、そこで妻の稼ぎを当てにした放蕩三昧の生活を続け、愛想を尽かした妻とは昭和57年に離婚していた。

 その後、先物取引仲介業の会社に勤め、そこでも営業先の人妻を相手に逢瀬を重ねていたが、あるときから社内で事務職の仕事に就いていたルリ子に関心を抱き、農家の次女で純情だった彼女を誘惑したのである。

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 持山にとって、これまで男を知らずに生きてきたルリ子は新鮮だったようで、二人はいつしか結婚を誓い合う仲になった。しかし、ルリ子の両親は、いかにも遊び人といった持山との結婚については、頑として認めようとしない。

 願いを絶たれた持山は、会社を辞めて近隣のM市に引っ越したが、ルリ子は親に隠れて彼に会いに来ていた。彼女を不憫に思った持山が、Z市に戻って布団販売店で働き始めたところ、ルリ子は実家を飛び出して、彼のもとに転がり込む行動に出たのである。そこで娘の思いの強さを知った両親は、さすがに折れないわけにはいかず、二人の結婚を認めたというのが一連の流れだ。

 だが、結婚からわずか1カ月にして、持山は新しい女を作る。それが事件を起こした当時に転がり込んでいた小百合だった。持山はルリ子とは違う、元人妻である小百合の性技に溺れ、外泊を繰り返すようになった。一方のルリ子は、同じ時期に自身の妊娠を知り、喜びを感じる反面、なかなか家に帰ってこない持山の行動に不安を抱いていた。

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