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 このケースはSNS上で話題となり、盗難対策としてAirTagが有効であるとの声も聞かれるようになった。しかしAさん自身が「AirTagや社外GPS装置はあくまでお守り」と話すように、これらのアイテムは窃盗行為そのものを防ぐものではない。通知に気づけず対処が遅れたり、装置が犯人に見つかってしまったりする可能性もある。

 さらに、運よく発見できたとしても、車が無傷で済むとは考えにくい。実際にAさんのLCも、盗難の際に内外装にダメージを受け、修理費用は100万円を超えてしまったという。

ハンドルロックをわずか数秒で突破

 全国有数の自動車盗難多発地域である茨城県の警察本部に話を聞くと、そもそも盗難に遭った車両が見つかることは稀であり、2021年に県内で起きた自動車盗難事件のうち、発見に至ったのは「約4%」とのことだった。さらに発見されたケースでも、窃盗の作業によって部品や車体が損傷していたり、輸出のために解体されていたりといった例が珍しくないという。

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 やはり対策のうえでは、「窃盗行為そのものを防ぐ」という観点が必要だ。実際に、窃盗犯が盗難を断念するケースにはどのようなものがあるか。

 茨城県警によれば、盗難が未遂に終わったケースにおいて、「バー式ハンドルロック」や、エンジン始動の「隠しスイッチ」、「警報装置(セキュリティシステム)」といった対策が犯行を未然に防いだ例が見られるという。

 しかし、こうした対策をしていたにもかかわらず、被害に遭ってしまったオーナーもいる。

 レクサス・LXを所有していたBさんは、購入から3年の間、4度の盗難未遂に遭っていた。屋外駐車で狙われやすい環境だったこともあり、駐車場には3台の監視カメラを設置し、車両にはタイヤロックとホイールロック。一見万全の態勢にも思えるが、計画的な犯行を阻止することはできなかった。

監視カメラに残された盗難の瞬間

「実は被害に遭う前の段階で、監視カメラに怪しい映像が残されていたんです。2、3人のグループが車の中を覗いたり、周囲の様子を確かめたり。これは窃盗の下見かもしれないと思い、その映像を警察に提出したんですね。

 しかし事前に捕まえることはできず、下見から1ヶ月ほど経ったある日、駐車場から車がなくなっていました」(Bさん)