証拠隠滅を図ろうとした犯人は……

 さらに卑劣にも、犯人は証拠隠滅を図ろうと、車内とエンジンルームに消火器を噴射していった。

消火器を撒き散らされた86の車内
消火器の被害はエンジンルームにまで及んだ

 パーツの被害だけであれば修理のしようがあるが、消火器の粉末は完全に除去することが難しく、配線や金属部分のサビにもつながる。そのためほとんどの場合、任意保険では全損扱いとされてしまうのだ。

盗難に遭ったホイールは、YOKOHAMA製の「ADVAN TC4」。BRIDEの「GIAS Ⅲ」というシートも盗難被害にあった

 なお、被害に遭ったCさんはこの事件についての情報提供を呼びかけている。盗難パーツに心当たりがある場合には、当人のTwitterアカウントのダイレクトメールから連絡されたい。

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車内に入られた時点で大きなリスクが

 上のようなパーツ盗難は、特別な知識がなくとも実行に移せるため、プロの窃盗グループではない人間による場当たり的な犯行も多いという。

「窃盗犯のなかには、車を盗む技術はないけれども、お金になるものは何でも持っていってやろうという人間も少なからずいます。数万円、十数万円のために手当たり次第にパーツを盗むことは、知識がなくてもできてしまうことなんです。

 窓を割られるだけでも、消火器を撒かれて全損になってしまうリスクが生じるので、車を守るにはまず車内に入れないための観点も必要になりますね」(攪上氏)

 総じて、盗難被害を予防するには、「車を動かせない状態にする」だけでなく、「車内への侵入を未然に防ぐ」観点が重要だ。タイヤロックやハンドルロック、隠しスイッチといった方法だけでは、この2点を兼ね備えることは難しい。

 それでは、愛車を守るためにできる万全の対策とはどのようなものか。

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取材協力
カーセキュリティプロショップA2M
〒376-0013 群馬県桐生市広沢町7-5019-1