自動車盗難の恐ろしさは、「一度盗まれた車は無事に済まない」ことにある。被害車両が発見されるケースはごく稀であり、仮に見つかったとしても、車体には大きなダメージが残されていることがほとんどだ。

 手軽にできる盗難対策として、タイヤロックやハンドルロック、エンジン始動の隠しスイッチや社外GPSなどを取り入れるオーナーもいる。しかし、窃盗グループによる計画的な犯行に対しては、これらの対策だけではカバーしきれないケースも多い。

 それでは、どうすれば大切な愛車を盗難被害から守れるのか。「日本カーセキュリティ協会」の代表理事として盗難対策の情報を発信しながら、カーセキュリティショップ「A2M」の代表を務める攪上智久(かくあげ ともひさ)氏に話を聞いた。

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デジタル化する盗難の手口

 そもそも、車両盗難にはどのような手口が用いられるのか。まず、自動車メーカーがイモビライザー(*1)を車両に標準搭載するようになって以来、このIDを不正にコピーする「コードグラバー」や、リモートキーの電波を増幅する「リレーアタック」といった手法が見られるようになった。

*1エンジンを始動させる際、キーと車両とのID照合を必須とするシステム

©iStock.com

 さらに近年では、小型デバイスを車両側の配線に噛ませ、ロックやエンジン始動の制御を乗っ取ってしまう「CANインベーダー」も増加している。車両制御プログラムにハッキングすることで、わずか数十秒のうちに狙った車を持ち去ってしまうのだ。

 こうした変化をふまえると、盗難対策においては「物理的な手口」はもちろん、「デジタルな手口」を防ぐ観点も必要になる。

さまざまな状況に対応できる方法は?

 物理的な方法に対しても、デジタルな方法に対しても、効果を発揮するのが「警報装置(社外セキュリティ)」だ。