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持ち去られるまでにかかった時間は数十秒

 監視カメラの映像を見ると、ハンドルロックはサンダーのようなもので切断され、タイヤロックは発進時の駆動力で強引に外されており、持ち去られるまでには数十秒しかかかっていないことがわかる。

タイヤロックを強引に外して発進するLX

「とうとうやられた、と慌てて警察を呼び、鑑識をしてもらって。その最中、いきなり犯人確保の連絡が届いたんです。下見の映像で犯人が手配済みだったこともあり、かなり迅速に対処できたみたいですね。

 同時に車も発見されたのですが、確保の際にカーチェイスのような状態になり、犯人がガードレールに突っ込んでしまったと。フロントが大破し、廃車にせざるをえない状態でした。

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 その後、犯人から補償がなされるわけでもなく、届いたのは弁護士が代筆した謝罪文1通のみ。自身の車の損害は、車両保険で賄う形でしたので、未加入であれば泣き寝入りするしかなかったと思います」(Bさん)

全損被害を受けたBさんのLX

 このようなケースについて、日本カーセキュリティ協会の会長を務めながら、カーセキュリティショップ「A2M」を経営する攪上智久(かくあげ ともひさ)氏は次のように語る。

「タイヤロックやハンドルロックを目にして犯行を断念するケースもありますが、窃盗犯にもレベルがあります。とくにランクルやLXなど、海外で高値で取引される車の場合には、プロの窃盗グループが周到に準備をしたうえで犯行に臨むことがほとんどです。

 組織的な犯行のターゲットにされてしまうと、これらのツールはわずかな時間稼ぎにしかなりません」