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東海道新幹線「のぞみ」の“ナゾの通過駅”「静岡」には何がある?

「家康さんといえば静岡」ですが…

2023/01/09

genre : ライフ, , 歴史, 社会

 まず駅前からもよく見える、国道1号沿いにあるのが百貨店の松坂屋、そして高さ125mの葵タワー。松坂屋の脇から北西方面に向けては国道1号にも引けを取らない大通り、御幸通りが伸びている。

 

 この道を歩いてゆくと、右手に静岡県庁、左手に静岡市役所が建ち並ぶ行政施設ゾーンへたどり着く。県庁舎の裏側(北側)にはお堀があって、お堀の中は駿府城公園だ。つまり、ここが江戸時代以来の静岡の町の中心、ヘソだったというわけだ。

かつての駿府城周辺には何がある?

 駿府城のご時世、その城下町はもちろんお城の周りに広がっていた。そして城下町の中をジグザグと旧東海道。家康さん亡き後の駿府城下は、江戸時代を通じてほとんどの期間が城代の置かれる幕府領に過ぎなかったので、武家地はあまり発達せず、逆に町人たちが根付いた商業の地として栄えた。その中心が、駿府城の南西側の一角だ。

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 かつては駿府城、いまは県庁舎が中心にあって、そこから南西に延びる目抜き通りは七間町通りという。厳めしい県庁舎からまっすぐの道というと、幅広の自動車メインの大通りが想像できる。が、ここではまったく違う。

 どちらかというと細い道筋で、行きかうのはむしろ買い物客ばかりだ。七間町通りの道沿いには百貨店の伊勢丹も。伊勢丹の角は札の辻といい、東から進んできた東海道はここで折れて南西に向かう。つまり、旧東海道沿いの繁華街、というわけだ。

 

 七間町通りの一本東側には青葉通りという、こちらは市役所の目の前から南西に向かう大通り。なかば公園通りのようになっていて、こちらもクルマ通りがメインの大通りとはまったく違う性質を持っているようだ。

 こうした七間町通りや青葉通りと垂直に交差している町並みが、呉服町通りや両替町通りで、いずれも静岡随一の歓楽街だ。旧東海道は七間町通りの札の辻から呉服町通り、つまり目下歓楽街のど真ん中を通って江川町通りという南北の大通りにぶつかる。ここでまた北に曲がり、御幸通りと交差する江川町交差点でさらに東へ。東海道で19番目の宿場町、府中宿の中心もこのあたりにあったという。

 

 旧東海道や御幸通り周辺にも、名だたる商業施設が勢揃い。東急スクエアや静岡モディ、パルコ……。静岡と清水を結ぶローカル私鉄、静岡鉄道のターミナル・新静岡駅も新静岡セノバという駅ビルになっている(ちなみに旧東海道は静岡鉄道に沿うようにして東に向かう)。

徳川の縁がある人は「家康さん」だけでなく…

 かくのごとく、静岡の駅前は国道1号を渡るとひたすら中心市街地が広がっている。呉服町や両替町の歓楽街、七間町辻の札の伊勢丹、東急スクエアにパルコ。その合間にも、たくさんの商業ビルが建ち並ぶ。

 メシを食うのも酒を飲むのも買い物をするのも、このあたりでまるごとそろう。静岡駅からは国道1号を挟んで徒歩数分。人口70万都市の静岡は、ターミナルと市街地がよく隣接した、実にほどよい大きさの規模の町なのだ。