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〈日本の酷道〉渡った先は行き止まり! 岐阜県の山中で遭遇した“ナゾの吊り橋”…いったい誰がなぜ架けた?

2023/01/17

genre : ライフ,

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木天蓼橋の今後は…?

 いずれは旧道の崩落箇所も行政によって補修してもらい、自動車で旧道を走り抜けられるようにしたいともおっしゃっていた。以前、土砂災害が発生して小津トンネルが通行止になった時、この集落は孤立状態となった。県道が唯一のアクセス路となるため、旧道を代替路として確保しておきたいという狙いもあるようだ。

小津トンネル

 そして、ちょうど現在、木天蓼橋の名称(愛称)募集と写真コンテストを行っているということで、チラシをいただいた。木天蓼橋を見てきた直後だけに、これには正直驚いた。橋本さんは「木天蓼橋って読みにくいでしょ? もっと親しみやすい名前を募集したい」と話す。

 名称と写真、それぞれに賞品も用意されているが、この状況で応募総数がどれほどなのか気になるところだ。1月20日まで募集しているので、興味がある方はぜひ応募してほしい。詳しくは月夜谷ふれあいの里ホームページに掲載されている。

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 木天蓼橋の謎が解決したところで、集落の入り口にあったカーナビ否定看板のことも聞いてみた。

「カーナビに従わず左折せよと書かれた看板がありましたが、あれはご存知ですか?」

「あれは僕が立てました」

 なんと、橋本さんはあの看板の設置者でもあったのだ。

 橋本さんによると、月夜谷ふれあいの里を目指して来た人たちが、あの交差点でカーナビに騙されて右折してしまう事例が多く発生していたのだという。県道本線が右折しているためか、カーナビが県道を進み続けるように指示することがあるようだ。右折すると行き止まりになるため、引き返してくる車が多く、それを気の毒に思った橋本さんがあの看板を設置したそうだ。

美しい自然が残る小津地区

 それにしても、何という偶然だろうか。最初に話を聞いた方が木天蓼橋の再整備を進めている方で、かつカーナビ否定の看板を設置した方だったとは。一生分の私の運を使い果たしていないことを祈るばかりだ。

 橋本さんは、そのほかにも小津地区の興味深い話を色々と聞かせてくれた。古くからある集落で古木があること、かつて銅山があったことや水力発電の取水口の話など、興味津々で聞き入ってしまった。

 これから、木天蓼橋はどうなっていくのか。今後も探索のため小津地区を訪問することになりそうだが、引き続き、当地を見守っていきたい。 

写真=鹿取茂雄

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。次のページでぜひご覧ください。

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