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どこから火が燃え移ったのか?

 その背景には、いまや円安インフレが進行して死亡寸前のMMT論者とのネット番組「ABEMA Prime」の対談にて、成田悠輔さんが札束を刷るだけのMMT経済理論は「根拠のない情弱ビジネス」と一刀両断して物議を醸したことにあります。

 もともと成田悠輔さんは、テレ東のネット番組でもMMTを主張する著名人や漫画家を指して「全員ただの馬鹿かポジショントーク」と断罪した経緯があります。まあ、計量経済学や市場を見ている人間からすれば、リフレ派やMMTの主張にろくなものがないのもまた事実ですからな。それもあって、低成長日本は刷る札束が足りなかったと金融政策を重視するリフレ派もついでにぶん殴ったため、高橋洋一さん以下リフレ派経済学者も総立ちとなって論戦が始まるのではないかと期待しています。

 そこに降って湧いたのが、弁護士・渡辺輝人さん(通称・ナベテル先生)が冒頭の成田悠輔さんの「高齢者は集団自決すべき」発言を再発掘したことで、倫理的に成田悠輔さんはマズい人なのではないかと問題提起を始めた事件です。あ、これは燃えるやつですわ。

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 成田悠輔さんと言えば、各メディアで西村博之さん(ひろゆき)との絡みも多く、その西村博之さんは昨年、沖縄辺野古基地反基地運動で連続3,000日以上座り込んだと標榜する無人の立て看板の横でピースして記念撮影して、これまた反基地運動に従事する活動家が顔真っ赤で反応し、「ABEMA Prime」で無事取り上げられるという惨状が発生したのも記憶に新しいところです。

 いわば、西村博之さんとセットで社会的な配慮やタブーに意識的に触れて炎上を怖れず、むしろ炎上させることでネット的な注目を浴びておカネを稼ぎたいメディアや出版社に担がれる状況になった成田悠輔さんと、この手の人権や反基地、反原発を旗頭にする共産党系の活動とは根本的なところで相容れない部分があります。

 いわゆるColabo問題や米山隆一さん・室井佑月さん夫妻への攻撃もまた、ある種の左翼活動の強すぎる党派性と、その党派性ゆえに揶揄される偽善や欺瞞、ダブルスタンダードに対する世間的な反発とも相俟って、空気が乾燥した冬に火薬庫の横でタバコを吸いました的な事象が起きるのも当然と言えます。

本来の意図は伝わらず問題発言だけが残った

 ど真ん中に新自由主義的な経済思想と人工知能などテクノロジーとを融合しながら、政府DXを進めたり合理的な規制改革をしたりして、経済改革をしましょうというのが成田悠輔さんの主張の大まかな骨子です。

 それは「暖かい家庭とか人権をどうしようとか社会保障を充実させて最大幸福の日本を」という(論じる価値はあるけどある種の欺瞞にも満ちた)政策とは決定的に相性が悪い。特に、渡辺輝人さん以下、共産党を含む左翼的な社会思想とは完全に混ぜるな危険となっています。