文春オンライン
中野で45年続く「厨房がきれいな中華料理屋」 真面目な店主が作る「みそラーメン」は懐かしい“昭和の香り”がした!

中野で45年続く「厨房がきれいな中華料理屋」 真面目な店主が作る「みそラーメン」は懐かしい“昭和の香り”がした!

B中華を探す旅――中野「北国」

2023/01/17

「いや、どっちでもいい、私は。うれしくもないし、悲しくもないし。私はお店が暇なほうがいいといってるんです。もうできないから、年だから。女房が死んでからですよ。もう家のこともやらなくちゃいけないじゃないですか。家へ帰って布団も敷かなきゃいけないし。一軒家に住んでるからさ。四十何年やったら、1軒ぐらい建てないと(笑)。俺、そんなに飲まないから。俺、賭け事もしないから。みんな、お金儲かったら賭け事とか、小指に走ったりするから。私、そういうことしないから」

 ふと時計に目をやると、そろそろ3時になろうとしていた。飲む人があまりいないお店だというのに、かなりのビールを空けてしまった。

 

「さあ、おやつでも食べるか。まだお昼ですけど。3時すぎると夕方になります。3時になったら食事しますから、私。めんどくさいから、早く閉めて、帰ろうかな(笑)」

ADVERTISEMENT

 なるほど、これが「あそこよく休憩してるから」が意味するものなのだな。

「とにかくおもしろいおやじがやってるだけ」

「だって疲れたよ、もう。10時ごろ来てやってるんだから。開けるのは11時半だけど、ほら、仕込みしないと。立ちっぱなしですよ。だからもう暇でもいいと思ってるんだよ。でも、暇でもいいと思ったら、逆転するじゃん、だいたい。そういうもの。ちゃんと準備しとけば誰もお客さんが来ないし。なにもないときばっかりお客さんが来るし。ああ、これもない、これもないって」

 基本的には、とても真面目な人なのだ。

「真面目なんですね」

「モテないんですよ」

「なにいってるんです。モテそうじゃないですか」

「いやあ、モテる方法を教えてくれ。いろいろ本読むけど、ろくなこと書いてないからよ。『週刊文春』とか、ろくなこと書いてない」

 と、ここで外から救急車のサイレンが聞こえてくる。

「お迎えが来ました。あ、俺か。『あんた、お迎え来たわよ』って。連れていってもらえば幸いです」

 どこまでもギャグの人である。

「もう適当に書いてください。書くんだったら、勝手にどうぞやってください。あんまりなにかしてもらうのはめんどくさいし、評価してもらうのもめんどくさいし。なにかやるならどうぞ勝手にやってくださいという感じ(笑)。とにかくおもしろいおやじがやってるだけで」

 経験に裏づけられた味もさることながら、肩の力がいい感じに抜けているこの飄々とした感じもまた横川さんの魅力だ。

INFORMATION

北国
東京都中野区中野2-13-26 岡ビル1F
営業時間 11:30~22:00
定休日 月曜

ビール中ビン 600円
ラーメン 600円
餃子 450円
肉野菜炒め 650円

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。次のページでぜひご覧ください。

中野で45年続く「厨房がきれいな中華料理屋」 真面目な店主が作る「みそラーメン」は懐かしい“昭和の香り”がした!

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー